今年最後のタチウオは千葉県竹岡産ドラゴン未満
ドラゴンではないが方は立派なのだ

タチウオ
数え日になってから、風邪を押して市場で細々と魚を買った。
中に、これ以上ないという魚があったものの、あまりにも平凡なので年を締めるにはどうかなと考えあぐねてしまったのが、千葉県竹岡産のタチウオである。0.8kgでドラゴンには小さいものの、来年の干支は辰なのである。
ぐるりと市場を回ってもこれ以上の魚はない。
ちなみに竹岡漁港の魚は関東では知名度が高い。「竹岡ものだよ」で売れる数少ない水揚げ港である。対岸は久里浜といういい条件が揃っている。
八王子総合卸売協同組合、舵丸水産は激動の2023年で、店構えも新しくなり、当人は今のところ借りてきた猫のようだったが、来年はドラゴンに化けるだろうと期待しての、最後の買い物をする。
タチウオの刺身は好きな造り方で造るべし

タチウオの刺身
酒を飲まない日々となり、何が変わったと言って刺身は夕方にではなく、お昼ご飯に造ってもよくなったことだ。
全長103cmを三等分して、ど真ん中を刺身にする。
タチウオの最大の魅力は、下ろしていてきれいなところなのだ。胃袋にはカタクチイワシがたっぷりと詰まっていたが、胃袋ごと捨てたら、水洗いもそこそこに刺身が造れる。
小骨が少ないのも魅力である。
三枚に下ろして、縦方向に切りつけるだけ。
切りつける方向はお好みでというか、気まぐれでいいんだと思っている。今年は1㎏上も数本買っているし、初夏の高値の個体も食べているが、まさか師走のタチウオが今年最高の1尾になるとは思わなかった。銀色の皮の下の曇りガラスのような身全部に脂そのものの甘さがある。
煮つけは煮染めないのがコツ

タチウオの煮つけ
翌日の煮つけはこってりとした煮汁で、煮染めないで煮たもの。ゆどうしもせずに背の部分をそのまま酒と水で煮て、仕上げに醤油と砂糖で甘辛く煮上げる。
煮汁は真っ黒、身は真っ白という状態で、刺身の味を忘れるくらいにうまい。
ご飯がやけにおいしいのも、酒がほとんど飲めぬせいかも知れない。
たまには大風邪を引くってのも悪いもんじゃない。