モンゴウイカ500円でいろいろ作る
見た目はばらばら事件だけど、おいしそう

ある寒い朝、ちょっとアニキ(数日前に仕入れた)のモンゴウイカ(カミナリイカ)が解体されて無造作に店頭に置かれていた。八王子総合卸売協同組合、舵丸水産のクマゴロウに、ど・こ・の? と聞こうとしたが、忙しいのでとりあえず確保する。中途半端によけておくと危険なので袋に移し替えて、持ち歩いたので、まるで万引きみたいだと思いながら市場歩きを続ける。結局産地はわからず終いだったが、ものはよしで、これはこれでいいのである。
モンゴウイカはちょっと大きいと2㎏くらいはある。このばらばらになったのだって、内臓を抜いて0.7kgもあるので、もとは1㎏以上はあったはず。
東京は典型的なスミイカ(コウイカ)圏であって、他にはツツイカ類(体が筒状のイカで貝殻である甲がフィルム状に退化している)のヤリイカ、スルメイカが冬のイカだった。馴染みの薄いイカであるモンゴウイカは、春になると入荷してくるもので量的に少なかった。それが年がら年中入荷しており、東京の前浜といってもいい相模湾でも揚がっている。これなども温暖化のせいだと思っている。
ついでに、水産物は新鮮な方がいいなんて、単純なことを恥ずかしげもなく言う人間がいるが、愚かなり! と言ってあげたい。水産物は料理法によって、種によって最適な鮮度のものを買うべきなのだ。塩焼きなど鮮度がいいからうまいとは限らないし、日々の総菜材料など懐具合の方も考えて買うべし、だ。
モンゴウイカは鮮度保ちもいいし、揚げても、煮ても、焼いてもうまい。ご飯との相性もいいのである。作る料理によっては危険な飯どろぼうであったりする。
こんな出物こそが市場の宝物だといいたい。
あくまでもごぼうが主役の煮物

税込み540円を朝昼晩3食+の主菜にする。
げその煮込みはイカ類の定番的な料理だ。
今回は太い泥つきごぼうがあったので、これと煮る。
要するに、大きなげそ、そして目玉の周辺部分である頭をだしとして一緒に甘辛く茶色くなるまで煮てしまうのである。
少々硬くなるものの、げそ自体が食べて美味だし、イカのうま味を吸ったゴボウが、これまたご飯に合う。
ちなみに煮込み料理は当座食べる、常備菜でもある。
これをソースごとご飯にのっけてイカステーキ丼

胴(刺身などにする部分で外套膜という)の半分はそのまま塩コショウしてソテーして取りだし、フライパンに醤油とみりんでデグラッセ(煮立ててフライパンにこびりついたうま味を調味料にに取り込む)してソースとする。
ソースたっぷりにご飯に乗せると、モンゴウイカのステーキ丼となる。
ブランディと甘い赤ワインでソースを作ってもおいしいし、パンに合う。
一見、豚ロースわらじカツだけど実はイカカツ

トリをとるのはフライである。フライと言うよりもイカカツと言った方がいいかも知れぬ。
外套膜半分に塩コショウして小麦粉をつけ、溶き卵をからめて、パン粉をまぶして高温で短時間に揚げる。
見た目は大わらじトンカツだけど、実はイカカツなのである。