202309/03掲載

シマアオダイを若狭焼きに

マダイ以上にスタンダードな存在になりそう


月桂冠は使える酒である。風邪をひいたときなど燗をつけてやってもうまいし、酒を前面に押し出すような料理に使うと飲む以上にいい。2000円以下で買えて、探さなくても手に入るのがなによりもいい。この月桂冠と近所の醤油、2対1(1対1のときもある)を生のまま合わせて置く。
これが我が家の「若狭焼き」に使う若狭地である。薄味の塩焼きに若狭地を塗りながら仕上げるのが「若狭焼き」だ。ちなみに我が家では一汐ものは清酒だけを塗りながら仕上げが、これも「若狭焼き」だと思っている。
フナ、アカアマダイ、イトヨリ、マダイなど昔から親しまれてきた白身魚に向いている料理だ。もちろんあれもこれもと挙げたらきりがない。
「若狭焼き」にはある程度大きくて、くせのない白身で、しかもほどよい脂が感じられて、皮に風味があるものが好ましいのだ。
鹿児島県鹿児島市、タカスイの競り情報をみて買ったのは1.6kgと手頃なサイズのシマアオダイである。近年、マダイ以上にスタンダードな白身だと考えているのが、フエダイ科アオダイ属のウメイロ、アオダイとシマアオダイだ。ウメイロ、アオダイは古くからの東京の魚だが、より南方系の近縁種、シマアオダイも今では豊洲市場などでは決して珍しい魚ではない。安定的な高級魚だといってもいいだろう。

切り身の大きさで用途を使い分ける


この新スタンダード白身で焼き物を作る。それが前記の若狭地を使った「若狭焼き」だ。
「ぐじ(アカアマダイ)」など若狭から来る魚で作るから「若狭焼き」だと言う人に、京都中央市場のうどん屋で会っているが、わかりやすい説明だが、本当かどうかはわからない。若狭は昔、酒どころだったので、酒を使う料理で「若狭焼き」だという人もいた。
シマアオダイは水洗いして三枚に下ろし、切り身にする。料理屋ではないので、2、3人前くらいの大きさにする。この大きさで焼いて個々に取り分けて食べる。この大きさは用途で変えるといい。
軽く振り塩をして1時間くらい待つ。表面に出て来た水分をとり、じっくりと焼き始める。
8分通り焼上がったら強火にして、2、3度、若狭地を塗りながら仕上げる。
皮目の風味はマダイに負けると感じたが、身のうまさはマダイ以上である。味があるのでたっぷり頬張っても味がだれない。
「若狭焼き」のよさは焼きたてもうまいが、冷めてもうまいところだ。ちなみに個人的には冷めた方がすきだ。
焼いておいて、深夜にだしてきて、酒の肴にする、というのがボク好み。
体調が万全ではないので、気仙沼の蒼天伝、盃二杯だけだが、ちょびっとだけ時が止まる。

このコラムに関係する種

シマアオダイのサムネイル写真
シマアオダイSaddle-back snapper海水魚。主に水深100mよりも深いところ。小笠原諸島、屋久島から琉球列島。伊豆諸島-[新島沖]、静岡県御前崎、三重県、・・・・
詳細ページへ

関連記事 ▽




呼び名検索

方言を含む全ての名(標準和名,方言,呼び名,外国名,学名)から水産物を検索します。

閉じる