202307/22掲載
ツムブリ小、意外に美味
銭州のレインボーランナー
ツムブリの小
八王子綜合卸売協同組合、マル幸、クマゴロウが銭州で釣り上げたスマートな魚をボクにホイっ、とくれた。全長50cm以上あるのに重さは2㎏足らずでほっそりした魚なので落としそうになる。
標準和名のツムブリを紡錘魚と書くのは、糸を縒るときの糸巻きの形をしているからだ。英名はレインボーランナーで、虹色に光りながら海を猛スピードで泳ぐ魚という意味。千葉県勝浦沖で一度だけ体側を七色にきらめかせながら海を走り抜けるのを見ているが、釣ったことは、ない。
本種は全世界の熱帯域から温帯域を遊泳している。ちなみに昔は、国内でも本種が揚がるのは房総半島くらいまでだった。その黒潮洗う外房でも珍しい魚だったと記憶している。
これが今やオホーツク海でも揚がっている。これがいかに未来への大きな不安材料であるか、いかに未来に黒い影を落としているか、ちゃんとわかっていないとダメだ。
脂のうまさではなく、味のあるうまさ
ツムブリの刺身
ツムブリは大きい方がうまくて、小さいと味がないと思っていた。魚の大小は種ごとに違うが、ツムブリは3㎏以上がいいと考えている。この大きさによる味の変化もブリに似ていると思っているが、考えてみるとブリのイナダサイズでとてもうまい個体が存在する。そんなに不思議ではない気もしてきた。
2㎏弱では平凡な味だろうと、下ろしながら切身を口に入れると味があるではないか。
珍しい魚ではないがコンスタントには手に入らない。本種に関しては旬に関しても、味の本質自体に関しても要再考、であるようだ。
小さいので脂は少ない、けれども味がある。うまさの中だるみがない。