202306/01掲載

今季初タカベは下田産

タカベ太る頃


関東に住んでいるからこその、5月16日は記念すべき今季初タカベであった。関西など他の地域に暮らす方達は「なんじゃそれは?」という感じかも知れない。夏になると関東人はタカベにざわつくのである。
不思議な魚で山陰、茨城県から南にいる魚なのに、関東以外ではまとまってとれないのだ。主な産地は東京都、千葉県、神奈川県、静岡県など相模湾周辺である。ときどき三重県や和歌山県からも入荷してくるが関東ものほど高値がつかない。
八王子総合卸売センター、福泉で見つけたタカベは本場、静岡県下田産である。18.5cm SL・144gと小振りだが腹回りは十分太っている。このぼってり感が尾に近い方にまで広がったときが最旬である。
タカベは毎年、「高いな」と思いながら買う魚なのだけど、福泉(八王子総合卸売センター)で支払いをしながら安くすら感じた。ここ数年、コロナと同時に魚もとれなくなり高騰が続いているためだ。

脂は今ひとつながら非常にウマスギ


帰宅してすぐに水洗い、ずぼ抜きをしてやや強めに振り塩をして、デスクに向かう。最近、我がサイトの小売り業は儲からない割りに忙しく、実務がばらばらとあり、これまた慌ただし。
あっと言う間に逢魔が時になり、疲れを取るために長々風呂に入る。
デスク枕でうとうとしながらタカベを焼く。3分ごとに起きては焼き加減を見る。裏返したり、裏返したりして、そろそろだと思ったら大根おろしをする。
関東風なので余計なものはなし。大根おろしだけで、焼きたてにかぶりつく。
熱いうちは脂が溶けて豊潤ではあるが、濃厚な脂の味を堪能するとまではいえない。やはり下田のタカベはまだ走りとみた。
もっと値の張る大型の個体を買えばいいのだろうけど、ほどほどの値で脂ののったタカベが買える時季まで待ちたい。
6月は脂をため込んだ、体脂肪太りのが来るだろう、などなど感じながら、ノンアルコールビールを1本だけ。
初ものは十二分にうましだけど、梅雨入り後の2尾目には身を燃やすようなうまさを期待したい。タカベは燃え燃えがいい。
肝臓癒やし日以外にくるんだぜタカベちゃん。

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タカベのサムネイル写真
タカベYellowstriped butterfish海水魚。沿岸域の岩礁地帯の中層。八丈島、小笠原諸島、茨城県〜九州南岸の太平洋沿岸、[鹿児島県]。若狭湾、兵庫県香住、島・・・・
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