202305/26掲載

魚島の鯛は一汐に

魚島の鯛を食べる


今年は産卵期のマダイの画像を雄雌、未成熟なものまで買い求め撮影した。ほぼ兵庫県明石産だったので魚島の鯛の走りである。
マダイの産卵期は晩春から初夏にかけて、この時季、播磨灘や燧灘に見られるのが魚島である。産卵期の魚が海表面に島のごとく、盛り上がるように群れる。
残念ながら瀬戸内海の魚は減少傾向にある。これには様々な要因があると思うが、魚島現象は見られなくなっても漁の最盛期であることは間違いない。
産卵期の魚をとることの是非はともかく、消費者は安くておいしい時季の魚を食べない手はない。

振り塩をする


今年は大小合わせて10個体近いマダイを買ったので、せっせと保存食を作っている。
そのひとつが一汐(一塩)だ。兵庫県津居山などの「ぐじの一汐(アカアマダイの塩蔵)」は有名で、プロの領域の仕事と思われるかも知れぬが、実は家庭で食べる程度のものを作るのは簡単である。
ちなみに国内での水産物の流通は高度成長期である1970年以前、基本的に四十物(加工品)であった可能性が高い。海辺はともかく、山間部など昔は小売店で買い求めるマダイは一汐だったという聞取もしている。
今回は三枚に下ろして、塩焼きをするときのように振り塩をする。普段塩焼きを作るときと同じ感じで振るだけなので簡単である。

密閉して寝かせる


このまま室温で置き、表面に出て来た水分を拭き取り、ビニール袋に入れて丸一日以上冷蔵庫で寝かせる。
振り塩をして寝かせると塩がなじみ焼くと、振り塩をしてすぐに焼き上げるよりも遙かにうまい。
これで3、4日くらいは保つ。食べやすい大きさに切り、個々にラップして冷凍すると1月くらい保つはずである。

焼いて食べるのが基本


一汐ものは天ぷらにしたり、そのまま焼いて食べてもいいし、汁にしてもうまい。炊き込みご飯などは焼いて炊き込むと失敗しない。
ここ数日、深夜酒の一品に焼いては楽しんでいる。
これぞ夏めいてくる日の名残の鯛だ。

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マダイのサムネイル写真
マダイRed sea-bream海水魚。水深30メートル前後から200mの岩礁域、砂礫底、砂底。稚魚、幼魚はより浅場にいる。北海道全沿岸〜九州南岸の日・・・・
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