202303/03掲載

白川の天ぷら

関東ではシラカワ


豊洲に通うが如くなので豊洲でしか買えない魚を探す。魚不足で全体に値段が高めであるのが残念ではあるが、やはり目立つものは高級魚である。シロアマダイは毎年2、3尾買っている。鹿島灘・若狭湾以南、九州までの比較的浅い海域に生息している。瀬戸内海にもいるのは浅場にいるためである。主な産地は四国、九州で漁獲量はごくわずかでしかない。珍魚ではないが漁獲量の非常に少ない魚というとわかって頂けるだろうか。
今年もやはり愛媛県八幡浜産が多い。しかもそのどれもが鮮度がいいので赤い。我が家にない画像と言えば赤いシロアマダイの画像なので奮発する。今回は2度の豊洲で2度奮発して撮影をし、食べてみた。
本種のすごいところは身質がよいところではなく、もうま味成分が豊かなことだろう。呈味成分には純粋に甘味はないが、いくつかのアミノ酸が合わさると甘いと感じさせてくれる。要するにアミノ酸の種類が多く、そのいくつかのアミノ酸が一緒になって甘いと感じさせるから甘鯛なのである。
やはり焼いて食べるのがいの一番の話であって、鱗つき・なし、若狭地を塗ったり塗らなかったり。アカアマダイもシロアマダイに負けぬほど高価だが、身質だけはシロに軍配が上がる。
ちなみに関東の市場では「白川(しらかわ)」と伝票にも、魚自体に記されていることが多い。

自分で作るからこそ食べられる


さて今季は久しぶりに天ぷらを作ってみた。過去に何度か揚げているが、あまりできのいいものではなかった。今回は少し工夫した。
鱗つきの切り身をペーパータオルにくるみ、冷蔵庫に1時間以上入れて水分を適度にぬく。
衣は冷やした天ぷら粉と冷やした水で作る。
身の方に小麦粉をまぶし、衣をつけて高温で身を下にして皮目に油をかけながら揚げる。
揚げたそばから食べるだけだけど、味以前に香りが高い。身の甘味と皮が一体化する瞬間がこれまたすごくいい。この味の洪水状況は言葉にできない。
問題は4文の1の天ぷらを専門店で食べたら1万円以上するだろうことだけだ。

このコラムに関係する種

シロアマダイのサムネイル写真
シロアマダイTilefish海水魚。水深30メートルから100メートル。アカアマダイよりも浅い砂泥地に生息。鹿島灘、相模湾〜豊後水道、鹿児島湾の太・・・・
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