202509/03掲載
宝暦6年『越後名寄』メモ
水産生物を考える上でとても重要である

『越後名寄』は非常に重要な書であるが、水産生物もしくは地誌、歴史の豊富な知識を持たない人間には意味のないものである。
ただし、本書を丹念に紐解くと、江戸時代の越後という土地柄がもちろんほんのわずかだが見えてくる。
また本書に関してはネット上での閲覧が可能である。
著者の丸山元純(天和2/1682-宝暦8/1758)は越後長岡藩(牧野家)内の医師の家に生まれ、越後寺泊で医師として暮らす。
徳川綱吉から吉宗、家重と比較的安定した時代を生きる。
『越後名寄』(宝暦6年 1756年)は越後の地誌である。
江戸の文化史としては平賀源内以前であることも重要であるし、化政期以前になったことにも意味があると思われる。
明らかに本草綱目の影響下にある『和漢三才図会』(正徳2年 1712)に習って、越後という地域の地誌を網羅したものと言えるだろう。
全三〇巻の大著だが水産生物的には、巻二四、二五だけとみていい。
また呼び名などでは、『物類称呼』(越谷吾山著 安永4/1775)以上に重要である。
■本コラムは、じょじょに改訂していく。
本書の重要性を教えていただき、閲覧を許可していただいた、上越市公文書センターには大いに感謝。