浜名湖鷲津、夏の「しゃくしゃ」小のぜんまい煮つけ
一度食べたら忘れられないくらいおいしい「ぜんまい」。

我が徳島県ではアイゴの胃と腸管をその形から「ぜんまい」という。
昔は好んで食べる人がいた。
実際に食べてみると非常にうまいが、かなり臭い。
このうまいと、臭いのせめぎ合いが、いいのだそうだ。
今でも少ないながら、「最近のばり(アイゴ)」は臭味が弱いのでおいしくない、という漁師さんすらいる。
「ぜんまい」は強いうま味の塊のようなもので、その上、あの臭味が好きだったら、それはそれはこれ以上ない御馳走だろう。
さて、念のために静岡県湖西市鷲津漁港で手に入れた小振りの「しゃくしゃ(アイゴ)」の「ぜんまい」を煮つけにしてみた。
若い個体なので「ぜんまい」も当然小さい、にもかかわらず、非常に強いうま味があり、思わず「お、お、お」っとのけぞるほどうまい。
しかも臭味が少ない。
それほど臭味に強くないボクにとっても珠玉の味である。
もちろん臭味はないにこしたことはないが、活け締めにした若い個体の「ぜんまい」がこんなにおいしいとは思わなかった。
鷲津漁協の方で少し活かして、体の中にあるエサを吐き出させてから刺身で食べると言った方がいた。
ひょっとすると活け越し(数日活かしておく)すると、小型の身だけではなく、「ぜんまい」の臭味も消えるのではないか? 次回の浜名湖が楽しみだ。
胃と長い腸管は渦巻き状になっている

さて静岡県鷲津漁協から持ち帰ったのは体長15cm前後なので、まだ1歳以下だと思われる。
活魚槽から出して活け締めにして持ち帰った。
魚体が小さいので、当然、消化器である胃と長い腸の渦巻きも小さい。
今回の個体は非常にはらわたがきれいであった。
「ぜんまい」をていねいに取り出して胆嚢と難渋に染まった部分を切り取る。
流水でさっと洗い、水分をきる。
これを酒・醤油・砂糖・水を煮立たせた中で短時間煮る。