202507/13掲載
十六ささげは夏の味
くすんで目立たないもの、それがなければ飯食いは始まらない

外気温は34度もあり、ベランダの温度計は38度などという日の、常備菜は十六ささげ(ジュウロクササゲ)と薩摩揚げをたいたものだ。
十六ささげは八百屋の特売品だし、薩摩揚げはそろそろダメになりそうだったもので、日常生活というのは、実はこのような合理性によって営まれているのである。
このとりたててうまいとも思えないものが、ないと寂しいのは米好きだからかも。
米(ご飯)というのは多様な脇役を要するものなのだ。
初めて見たときは、とても変わった豆だなと思ったものだ

さて、三尺ささげともいう。長さ90cmにだって成長する莢を食べるササゲである。
輪ゴムでとめた束で売られている。
6月30日、静岡県浜松市のスーパーに並んでいて、夏だなと感じた。
愛知県新城市長篠ではお盆にはなくてはならないものだという。
考えて見ると、最近じっくり野菜売り場を見る時間がなかったことにも気づく。
八王子総合卸売センター、八百角にも大量入荷してきていて、これから9月いっぱいまで八百屋の定番的な野菜になるはずである。
ボクだけの話だが、徳島県美馬郡貞光町(現つるぎ町)の商店街の家では食べた憶えがない。
上京して初めて見た気がする。
三度豆(ドジョウインゲン)は舎園地(しゃえんじ/農家ではない家が自宅用に持っている畑)でなんども収穫していて、馴染みがあったが、東京都江戸川区小岩でこの長い莢を見たときはびっくりした。
その個性的な風味にも驚いた。
どちらかというと三度豆好きだったのが、いつの間にか十六ささげ好きになっているのが不思議だ。
この独特の風味がわかる、そんなボクに変化したのかも。