202502/22掲載
銚子産マダイは、いきなり鯛茶の話から
これぞ典型的な労働者の茶漬け

北大路魯山人は、ご飯が多い茶漬けを「労働者の茶漬け」としていた、と記憶する。
理想的なのは少量のご飯に魚の漬けを乗せて、熱い粉茶(粉末状の緑茶で茶こしに入れて熱湯をそそいでいれる)を注いだもの。
魯山人のやり方の方が確かにうまいと思う。
でも忙しない日々に、そんな悠長なことはしていられない。
念のために魯山人は、「労働者の茶漬け」を否定してはいない。
しかも、労働者は『男はつらいよ』の台詞通り、差別的なものでもない。
ボクの茶漬けは明らかに「労働者の茶漬け」であり、おまけにチンしたご飯だし、緑茶の番茶だし、焼霜造り、皮霜造り、酢締め、刺身が混ざった漬けなのだから、「騒がしい茶漬け」とでもして置こう。
ちなみに魯山人の作品や、一部考え方は好きだけど、ご本人自体は狷介すぎて嫌いである。
茶をかけたら寸暇を惜しんで食うのだ、よ

なにもない時季なので鞍馬山椒の佃煮を乗せてみた。
ご飯は5勺だし、マダイの漬けもたっぷりで、決して見た目はよくないが、食べ始めたら箸が止まらない。
切り身と漬けにしたときの地から濃厚なだしが出る。
地で適度に締まった刺身などなどもとても味があり、口に入れて味が途中でだれない。
ずーっとうまい。
今回の新発見は北海道産「ゆめぴりか」がとてもおいしい米だ、ということ。
北海道の農家のみなさん、ありがとーー。
どうでもいいことだけど魯山人好みの茶漬けの方が、ボクの腹回りにはヨイに違いない。