202502/02掲載

ヒラメの天ぷらにはウスターソースがいい

徳島のボクの家では天ぷらに醤油、香川はソース? 大阪も?


いきなり寄り道の寄り道。
ボクの生まれた徳島県美馬郡貞光町(現つるぎ町)は北上すると険しい山越えになるけど、山を越えたらすぐそこが香川県である。距離的には徳島市内よりも遙かに近い。
ただ、徳島市内にはよく行ったものだが、香川県高松は通り過ぎるだけだったり、海岸寺に海水浴に行くだけだったり。
学生時代、上京するとき、徳島本線で池田駅で土讃線に乗り替え、高松に出て、宇高連絡線で岡山、そして新幹線で東京だった。

このとき何度か高松駅で途中下車して街歩きをした。瀬戸内海の魚を売る魚屋があったためだ。そのとき手に入れたのがハナツメタ(タマガイ科の二枚貝)であり、アカマテガイである。高松駅からたぶん瓦駅方向に歩くと、その魚屋があったので帰郷する度に魚屋をのぞいたものである。
その近くにあったうどん屋で普通の天ぷらうどんを食べていたら、そこにオッチャンがきて天ぷらをもらってソースをかけて食べた。
ボクの家では醤油だった。
「おっちゃん、それ、醤油とちゃうんで」
と言いかけて、ひょっとしたら高松市内の普通かも知れない、だってテーブルにソースが置いてある、と言葉を飲んだ。

さて、2000年前後、観音寺に水揚げを見に行って、普通の家庭で朝ご飯を食べた。昨日の天ぷらを温めて、恐るべきことに「ソースかけるよ」と大皿にウスターソースをかけたのだ。
もっとあと大阪天神橋筋の居酒屋で、昼ご飯兼昼酒をやっていたら、となりのオッチャンが「えびの天ぷら」にじゃぶじゃぶ持参の泥ソースをかけていた。
そんなん辛すぎで食べられんのとちゃうん、と思ったけど、それが大阪の普通なんだと思ったのであった。豊中市の豊南市場でも天ぷらにソースを目撃している。
天ぷら専門店はいざ知らず、家庭ではどんなに上品な上物でも自由自在、融通無碍に食べるべし、かも。

ヒラメの天ぷらはお上品すぎる味なのでウスターソースをじゃぼり


ながながと下らないことを書いたけど、ヒラメの天ぷらは身がふんわりとしたのと、衣のサクッとした感じとの差があってうまい。
身にちょっと甘味があり、皮に風味がちょっとだけあるのもいい。
けどけど、ちょっとだけもの足りない。
ということで撮影が終わったあと、炊きたてのご飯に、ヒラメの天ぷらに岐阜県八百津のヤマノコソースをじゃぼっとかけて食べた。
やはりどんなに上物のヒラメを使った天ぷらでも、ソースが合う、かも知れまへん。

小田原の素晴らしいヒラメを天ぷらにする


神奈川県小田原魚市場でヒラメを見ていたら、まさか買うんですか?(ボクの場合、買受人に競ってもらうということで、直に買うわけではない)と、何人かの買い受け人に意外そうに聞かれた。
「もちろん買います! 買います!」
この日の小田原魚市場にはうまい魚が五万とあったけど、ボクが心底食べたいと思ったのはヒラメなのである。
というような話をした朝、競ってもらったのが体長42cm・1.1kgのヒラメである。
ぎりぎりヒラメといったサイズだが身に厚みがある。
以上は前回書いた。
今回は五枚下ろしにした尾に近い部分を開いて厚みを半分にして、天ぷらにする。
開いたものに振り塩をする。水分が出て来たら拭き取り、小麦粉をまぶして衣をつけて高温で揚げる。
今回はおかず、なので春菊とじゃがいもも揚げて添えた。
さんの水産
https://www.sanno-suisan.com/

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ヒラメBastard halibut 海水魚。水深10-200mの砂地。北海道オホーツク海(あまり多くないが紋別では増えている)・日本海、少ないが北海道太平・・・・
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