202507/13掲載

夏バテに煮穴子

夏には長いものを食べたいのはなぜだろう?


夏だ、夏だ、夏バテで、穴子だ、なんて思う。
蒸し暑いし、やることが多すぎるし、で、7月になったばかりなのに滅法バテている。
こんなときには長いものがいい。
ドジョウでもいいのだけど、手に入らない。
浜名湖で買った鰻を食べて、今度は穴子を食べる。
煮立て穴子を軽くあぶって、ツメを塗って逢魔が時に本物ビールをやる。
煮穴子は舌の上で脆弱に崩れていきながら、強いうま味と、調味料の甘みが一体化する。
これをビールで流す。

脂が乗っていてまったりした味だけど夏向きのご飯になる


翌日昼には穴子重を作る。
重にご飯を敷く。
ツメを点々と落とす。
煮穴子を強火でやいて、ご飯に乗せてツメをたらす。
口に入れた途端にご飯と一体化する穴子、そしてツメの甘さで、夏のご飯だなと思う。
ボク好みの食べ方は山椒をたっぷりかける、だ。
濃い目に淹れた十津川村の番茶が苦くてよく合う。

トリをとるのは尾しかない


そのまた翌日はとっておきの尾を夜酒に食べる。
冷蔵庫で煮凝りに包まれた状態で皿に移し、ツメをかける。
煮凝りはあっと言う間に液体と化す。
やはり尾はいちばんうまい、と思うな、なんて思う。
静岡県藤枝市、初亀「急冷美酒」を用意したのに飲み忘れるほど、だ。

魚屋に出来ることはできるだけやってもらうべし


八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産まで来たら「穴子(マアナゴ)」と顔があった。
大小あって、ボクは大好みなので大6.3kgを裂いてもらう。
魚屋のいいところは、後は料理するだけの状態にしてくれることだ。

ていねいな下ごしらえがうまい煮穴子を作る


これを白煮にする。
まな板に皮を上に向けて湯をかける。
白く変色したぬるをこそげ落とす。
残った背鰭などを切り落とす。

火を止めてから味が入るし、時間がたつと味が変わる


水分をよくきり、酒・砂糖・白醤油・少量の濃口醤油・水で約19分煮る。
煮る時間は箸などで触って加減する。
鍋止めをして、1時間前後置き、煮穴子を取りだし、別の容器に保存。
とろみがつくまで煮汁を煮つめて、ツメを作る。

東京は東京湾、名古屋は伊勢湾、大阪は大阪湾が産地だった


マアナゴは北海道から九州、屋久島の内湾の泥場に生息している。
ウナギ同様に細長く、同じようにレプトケファルスという葉形仔魚時代がある。
古くより大都会のある大きな湾などで多産し、親しまれてきた。

このコラムに関係する種

マアナゴのサムネイル写真
マアナゴConger-eel海水魚。沿岸砂泥底。北海道〜九州南岸の太平洋沿岸、屋久島、北海道〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、瀬戸内海、喜界島。・・・・
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