男鹿半島沖のソイの焼霜造りに刺身
基本的にソイの味は皮と肝にある、と思う
下ろしていると水に脂が浮かんできらきらしていたので、期待が膨らむ。
ソイの定番料理、焼霜造りは期待以上だった。
キツネメバルの皮は厚みがあり、皮を噛みしめるとうま味が浮かび上がってくる。
岩礁地帯にいるメバル属の皮は非常にうまいのだと、改めて思う。
しかも今回のものは皮下に脂の層がある。
身にも脂が混在して、味のボリュームを感じる。
10月の刺身はあなどれぬ味である
刺身はあまり期待していなかったが、意外に焼霜造り以上に本種の端的なうまさが感じられた。
身に呈味成分以外のアミノ酸と、呈味成分のアミノ酸が混ざり合わさったおいしさがある。
東京でいると大型のキツネメバルを味わう機会があまりない。
その意味でも、近藤さんには大いに感謝したい。
実際、東京では流通上の評価も定まっていない。
本種に関してはキツネ・タヌキ問題があって、ここ数年、情報整理を怠っている。そろそろまた始動してみよう。
キツネ・タヌキのキツネの方だが、やはり旬はわからない
専門的な話になるがフサカサゴ科からメバル科が独立してわかりやすくなった気がする。やはり現メバル科はフサカサゴ科とは別の生物群だ。これでメバル科から旧ソイ科の仲間が独立すると食用魚の世界ではもっとわかりやすくなるが、門外漢なので遺伝子的なことまではわからない。
近藤亮さん(第八松宝丸 秋田県男鹿市)に秋田県男鹿半島沖の魚を送っていただいた。
中に大小のキツネメバルがあった。
北海道など広い地域で「まぞい」、「そい」と呼ばれ、北にいるメバル科メバル属の魚の中でももっとも評価が高い。
おいしい魚であることはわかっているが、旬がわからない。
想像でしかないが卵胎生で交接をして、雌は腹の中に産卵、卵が孵化して出産する。
交接は春(季節を使うと曖昧になるけど、情報を持っていないので)のから夏にかけて、晩春から8月にかけて出産するのだと思っている。
とすると、男鹿半島沖のキツネメバルはこれから徐々に体力を回復させようとしている時季に当たるはず。
水洗いして下ろすと生殖巣は収縮して見当たらない。そして脂がのっているし、身に張りがある。我が家の過去のデータでも10月の固体はいいのである。
メバル科の魚は生食するととても歩留まりが悪いが、大型体長30cm・750g を焼霜造りと刺身にする。
肝が膨らんでいたので胃袋とともに取り分ける。ともに湯通しする。肝はザルに上げ、胃袋は氷水に落として表面のぬめりや汚れを落とす。
三枚に下ろして皮付きのままあぶって氷水に落とす。水分をきって刺身状に切る。
細切りにした胃袋、肝とともに盛り付ける。
刺身は皮を引き、食感が強かったので比較的薄く切りつける。
■第八松宝丸は赤テリ(ウスメバル)、マダラなどの釣りを行っています。