202410/13掲載
冷え込む夕べにショウサイフグで、ふぐちり
あるものだけで作るありのままの「ふぐちり」

夜と昼の気温差に体がついていけない。夕方になると温かいものが食べたくなる。
終日、ミクロな闘いをしており、しかもそのミクロなものは水産生物だけど食べるわけにもいかない。
仕方なくショウサイフグを解凍して、「ふぐちり」にする。
長い長い夏が去り、秋らしいと思う間もなく冬が来るなんていやだな、なんてことも思う。
豆腐がなくて、愛知県の角麩があったのは奇跡である。
9月の半ばにもらって忘れていた角麩である。
この愛知県、岐阜県で食べられている麩はどれもこれも素晴らしい。
これがフグのうま味とだしのうま味を吸い取っていいのである。
合いの手以上、主役になりそうだ。
塩で締まったショウサイフグに甘味があるのは、塩をした効果だ。
身離れがいいので、食べやすく、またほどよいほぐれ感がある。
フグってこんなにうま味豊かなんだというのも、単純なつゆで食べるからだ。
水前寺菜を数秒つゆに沈めて食べると、また舌と脳みそが別の世界に持って行かれてしまう。
このところ毎日のように市場に並ぶ、水前寺菜もまたうまし、だ。
これから毎夜毎夜、独り鍋をつつくと思うと淋しいやら、諦観を感じるやらで、酒がすすんでしゃーない。
ショウサイフグは安くてうまいフグなのだ

八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産で今季初ショウサイフグを買う。
荷の作りから茨城県産とみた。
体長18cm・125g前後なので小振りである。
頭部と皮・内臓を取り去ってもらう。(フグ調理師がいる店なら、時間さえあればやってもらえる)
盛り帰ったらざっと洗い、水分をきり塩を揉み込んでおく。
これを冷蔵保存しておく。
以上は前回も書いた。