タイセイヨウサバ
代表的な呼び名ノルウェーサバ
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魚貝の物知り度 | ★★★★ 知っていたら達人級 |
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食べ物としての重要度 | ★★★★ 重要 |
味の評価度 | ★★★★ 非常に美味 |
概要
生息域
海水魚。海表面〜水深200m。
北大西洋・北アメリカ大陸沿岸、アイスランド沿岸、ユーラシア大陸沿岸、地中海。
生態
産卵期は5月から9月。
基本情報
北大西洋に広く分布。主にノルウェー、アイスランドなどから輸入されている。古くは安くて安定的に流通するものであったが、近年価格が不安定になり、高騰している。1980年代前後からスーパーなどで盛んに見かけるようになった。現在では冷凍フィレ、総菜、干ものなどになり、流通している。また品質が安定しているのでお弁当、総菜、料理店などで盛んに使われている。
基本的に冷凍だったものが、2021年9月にチルドでも来るようになった。近年の冷蔵技術は非常に優れているため、初ものであることも重なり値が高すぎると感じた。また生だから取り立てておいしいとは思えない。
今のところ、国産マサバよりも安定しているために日本海の伝統的な加工品である、「焼きさば」、「へしこさば」などの主な原料となっている。「一塩さば(塩蔵さば)」にもなっているので、「さばずし」を常食する西日本、近畿、中国地方などで見かける機会が多い。
水産基本情報
市場での評価 希にチルドでの生輸入されたものもある。冷凍ものはなくてはならないものとなっている。生も冷凍ものもやや高値。
漁法 巻き網、刺し網
主な産地 ノルウェー、アイスランド、カナダ、デンマーク
輸入量は45000トン前後、国内でとれるサバ類(マサバ、ゴマサバ)が450000トンほど。
選び方・食べ方・その他
選び方
ドリップしていないもの。身色が黒ずんでいないもの。
味わい
旬は不明だがマサバと同じだと思う。比較的脂がある時期にとったものが多く、品質は安定している。
鱗はほとんど気にならない。皮は外皮がやや硬く、熱などにも強い。骨は柔らかい。
典型的な青い背の魚で、身質もマサバと同じ。
栄養
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危険性など
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食べ方・料理法・作り方
好んで食べる地域・名物料理
焼き漬け 新潟県。サバを焼いてしょうゆ味のタレに漬け込む。
さばずし(鯖鮓) 日本各地、特に海辺から遠い地方で盛んに作られた。中部以西の山間部に多い。一般に塩と酢でしめたサバですし飯を包んだもので棒ずし(ぼうずし)ともいう。もしくは箱寿司(はこずし)にしたもの。
焼きさばそうめん(焼き鯖素麺) 日本海から京都への街道筋に残っている郷土料理と思われる。長浜市、高島市朽木などで作られて、現在に至っている。若狭などで浜焼きされたマサバ(現在では輸入サバなども)を甘辛く煮つけ、その煮汁でゆでた素麺を煮る(からめる)。
焼きさばずし ちらしずしに焼きさばのほぐした身を混ぜ込んだもの。島根県雲南市、津和野などで作られている。ハレの料理ではなく、日常的な料理。
焼き鯖煮付け 焼き鯖と葉タマネギを甘辛く煮たもの。鳥取県東部。
さばの船場汁 大阪の商業地船場で作られたものとされる。身を焼いて食べた後の塩さばの粗(あら)と大根で作った汁。塩さばの塩分と旨みで大根を煮て作る簡素な食べ物ながら、現在作っても非常に美味。
さばへしこのおにぎり あぶったさばの「へしこ」をご飯に混ぜ込んでお握りにしたもの。[福井県三方上中郡若狭町]
さばのぬかみそ炊き 福岡県北九州市周辺。マサバの切り身を糠味噌(ぬかみそ ぬか漬けの糠)、しょうゆ、砂糖、みりんなどと煮たもの。マイワシでも作る。
加工品・名産品
【新加工品】
焼きじょうず さば明太 タイセイヨウサバの片身に明太子をあわせて焼き上げたもの。なかなかよくできた総菜。『水永水産(宮崎県東臼杵門川町)』
福井県若狭、新潟県出雲崎、京都府、滋賀県、鳥取県。サバを丸ごと串に刺し、じっくり時間をかけて焼いたもの。これが滋賀県や京都府の山間部に送られてそのまま、素麺や煮物のだしとして使われた。[北びわこ食品 滋賀県長浜市、安兵衛食品 福井県敦賀市、矢部海商 福井県敦賀市、徳田商店 鳥取県鳥取市南安長]
釣り情報
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歴史・ことわざなど
サバの文化干し 〈終戦の5年目だが、「軍が開発し使用していたとかの乾燥材を所有していた方が、『魚を干すのに使えないか?』と持って来られた。何から造られたか知らぬ『軽い砂』である。この『乾燥砂』の中に魚を埋めて置くと、『干もの』になると言う。魚をそのまま埋めると砂まみれになるので、セロハン紙に挟んで埋めて置くのだと説明された。セロハンなどの紙に包めば、むれる心配があると言ったら、『セロハン紙は、水は漏らぬがメッシュの小さな穴があるので、空気は通る』と説明された。さっそく中型のサバで実験してみる。開いた鯖の塩水漬けを終わって砂の中で一昼夜もたつと、確かに水分50パーセント位に乾燥していて『中干しの干鯖』はできた。干しあがった製品は、日干したものより、色・艶が悪いばかりでなく、血合いはどす黒さが目立つ」、「千葉県勝浦の生産者のひとりK氏が「1、鯖を二枚におろして、乾燥砂で乾燥させる。2、セロハンに包んだままの出荷」をしてきた。この簡単な改良が成功であって、販路を大きく拡張することになった。半身の干鯖のセロハン包みである。これに「文化干し」と名を付されたが、この名もK氏の創始ではなかろうか。〉。文化干しは古くはマサバで作られていたが、近年ではほとんどがタイセイヨウサバで作られている。塩乾業者はタイセイヨウサバの方が安定してうまいという。『干もの塩もの』(石黒正吉 毎日新聞社)