ヒラスズキ
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珍魚度・珍しさ | ★★★ がんばって探せば手に入る |
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魚貝の物知り度 | ★★★★ 知っていたら達人級 |
食べ物としての重要度 | ★★★ 一般的(流通量は普通) |
味の評価度 | ★★★★ 非常に美味 |
分類 | 顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目スズキ科スズキ属
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外国名 | Blackfin seabass
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学名 | Lateolabrax latus Katayama,1957
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漢字・学名由来 | 漢字 平鱸 Hirasuzuki スズキ1種/長い間、スズキは魚類学的にはスズキ1種だとされていた。
『和漢三才図会』(寺島良安 正徳3年/1713 東洋文庫 平凡社)に〈川鱸は脂多く味が美(よ)い。海鱸は脂は少なく味が淡い。〉とある。古くから川鱸(スズキ)と海鱸(ヒラスズキ)を分けていたようだ。〈スゞキ 一般にスゞキと言い。……河口を多少溯るものと全く是を溯ないものとがあるが、同一種内の異型である。〉。『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年) 〈ススキ科ススキ亞科ススキ属スズキ〉。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938) 〈スズキ目スズキ亜科スズキ科スズキ〉。『魚類の形態と検索』(松原喜代松 岩崎書店 1955) 2種に分かれる
Four New Species of Serranid Fishes from Japan Masao KATAYAMA(Yamaguchi University)1957年〈図版にヒラスズキ 解説にヒラスズキはなく。 スズキに似るが、体高が高く……〉。 書籍では、『魚類大図鑑 南日本の沿岸魚』(益田一、荒賀忠一、吉野哲夫 東海大学出版会 1975/11/25) Katayama 片山正夫(1912~1989年 山口大学教授、山口県生まれ)。広島高等師範学校から農水省水産講習所(後の東京水産大学)。師範学校教師を経て、山口大学へ。特にスズキ科(当時はハタなども含んでいた)を研究。ヒラスズキ、アオダイを記載、和名をつけた。アカハタモドキ、ヤマブキハタなど、多くの和名をつけたものと思われる。 |
地方名・市場名 |
概要
生息域
海水魚。スズキが河口や湾内に多いのに対し、海流が洗う外洋に面した荒磯に多い。淡水域でもみられる。
青森県深浦、秋田県男鹿、新潟県佐渡、富山県、石川県能登、兵庫県浜坂、島根県島根半島周辺、山口県〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、茨城県〜屋久島・種子島、沖縄本島。
少ない/瀬戸内海
生態
産卵期は10月〜4月だが、春に産卵する固体が多い。
基本情報
本州から沖縄にかけての比較的河川の影響が少ない外洋に多く、釣りなどでとれるがスズキと比べると圧倒的に少ない。古くスズキは魚類学者の間では1種類だと思われていた。江戸時代には川鱸と海鱸があるとされていた。漁業者や海辺の人たちにも2種いると考えられていた。
スズキが主に内湾、河口域、淡水域にも現れるのに対して、本種は外洋に面した岩礁域にいて内湾や河口域、淡水域に入ることは希である。スズキが暖かい季節が旬であるのに対して、秋から初冬が旬である。高級魚で、普通スズキよりも値が高く、小さくても決して安くはない。
身色がタイ科の魚に近く、内湾性のスズキとはまったく異にしている。高値なので消費地では馴染みがない。むしろ料理店などで食べる魚だ。
珍魚度 珍魚ではないが、一般の方にとっては珍しい魚である。探してもなかなか手に入れにくい。少しがんばって探すしかない。
水産基本情報
市場での評価 入荷量は少ない。釣りもの、定置ものが多く、取り扱いがいいので、高値安定。
漁法 釣り、定置網
主な産地 東京湾以南の太平洋側、九州。
選び方・食べ方・その他
選び方
できれば活け締めにしたもの。触って硬いもので、目が澄んでいるもの。鰓が赤いもの。
味わい
鱗は細かく取りやすい。皮は厚くてしっかりしている。骨はやや硬い。
透明感のある白身で色合いはイサキやマダイに近い。スズキのような淡水魚を思わせる臭いは全くない。
真子・白子も美味。
栄養
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危険性など
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食べ方・料理法・作り方
好んで食べる地域・名物料理
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加工品・名産品
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釣り情報
磯際でのルアー釣りの対象魚。荒れている時の方がよく釣れるとされている。
歴史・ことわざなど
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地方名・市場名
サイズ / 時期小型 備考釣り人の間で。 場所三重県など
参考日比野友亮さん/和具の方言 場所三重県志摩市和具町・尾鷲
参考長野淳さん 場所三重県熊野市
参考『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 場所徳島県、高知県、鹿児島県種子島
場所徳島県宍喰、高知県
サイズ / 時期小型魚 参考和田隆史さん 場所徳島県阿南市
参考山仲洋紀さん 場所長崎県壱岐
参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所高知県黒潮町土佐佐賀・高知市横浜
参考『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 場所鹿児島県種子島
場所福岡県福岡市中央卸売市場
場所市場でも
参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所高知県宿毛市鵜来島・以布利・手結・伊田・竹島