イラ
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料理法・レシピ
面の皮の厚いイラは清蒸だろうコラム
梅雨明け直前、ちゃんと活け締めしたイラは最高!
珍魚度・珍しさ | ★★ 少し努力すれば手に入る |
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魚貝の物知り度 | ★★★★ 知っていたら達人級 |
食べ物としての重要度 | ★★ 地域的、嗜好品的なもの |
味の評価度 | ★★★★ 非常に美味 |
分類 | 顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系ベラ亜目ベラ科イラ属
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外国名 | Wrasse, Tuskfish
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学名 | Choerodon azurio (Jordan and Snyder, 1901)
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漢字・学名由来 | 漢字 伊良、苛、苛魚 Ira Jordan David Starr Jordan〈デイビッド・スター・ジョーダン(ジョルダン) 1851-1931 アメリカ〉。魚類学者。日本の魚類学の創始者とされる田中茂穂とスナイダーとの共著『日本魚類目録』を出版。 Snyder ジョン・オターバイン・スナイダー(1867-1943 アメリカ) 魚類学者。スタンフォード大学の魚類学教授。『日本魚類目録(A catalogue of the fishes of Japan)』を田中茂穂、David Starr Jordanとともに作る。 |
地方名・市場名 |
概要
生息域
海水魚。浅い岩礁域。
新潟県・千葉県館山〜九州南岸の日本海・東シナ海、太平洋沿岸、瀬戸内海、奄美大島。
朝鮮半島南岸、鬱陵島、済州島、台湾、福建省、中国南シナ海沿岸。
生態
消化器からは貝殻や甲殻類の殻などがつぶされた状態で出てくる。
産卵期は5〜7月にかけて
基本情報
新潟県・千葉県房総半島の比較的浅場に生息しているベラ科の魚である。ベラ科でも本種を含むイラ属は比較的大型になり、味がいいのが特徴である。刺し網や定置網、釣り漁で揚がる。
関東では珍しいというほどではないが入荷量は少なく、一般的な小売り店で売られてるのことの少ない魚だ。大型の割りに、知名度は低い。
特に昔は、せいぜい潰しもの(練り製品)の材料になるくらいの魚程度の評価でしかなかった。古い図鑑などにまずい魚だとあるのは水揚げ後の扱いが悪かったためだ。これが評価を上げはじめたのは国内の漁獲量の激減で個々の魚の扱いがよくなったためと、流通の発達である。
歩留まりがよく、とりわけ味がいいので、九州など産地では盛んに食べられている。関東などでも本種の価値を再認識するとよいだろう。
珍魚度 珍しい魚ではないが、水揚げ量が少ないために手に入れるのはなかなか難しい。
水産基本情報
市場での評価 入荷量は少ない。ベラ類はおしなべて安いが、本種は大型なのでやや高値。活け締めや活魚は高い。
漁法 釣り、定置網、刺し網
産地 和歌山県、徳島県、大分県など
選び方・食べ方・その他
選び方
基本的に活け締め・活魚がいい。体色の強いもの。赤味の強いもの。触って張りがあり、目が澄んでいるもの。
味わい
本種は扱いで味が極端に違う。活け締め・活魚は身が締まっているし、水っぽくない。野締めは明らかにまずいし、臭味がある。水っぽくて筋肉も柔らかい。
大きい方が美味。
鱗は柔らかく大きい。皮はしっかりして厚みがある。骨はあまり硬くないが咽頭歯周りが硬い。
白身でまったくクセがない。柔らかくつぶれやすい身だが、熱を通すと締まる。ほどよく繊維質で口に入れると適度にほぐれる。いいだしが出る。
栄養
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危険性など
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食べ方・料理法・作り方
水洗いして頭部を梨子割りにする。頭部の鱗はていねいに包丁などでこそげ取る。水分をよくきる。皿に太葱などをわたし、その上に兜を乗せて、10〜15分ほど蒸す。
蒸し上がったらタレ(紹興酒・醤油・醤油・少量の魚醬・砂糖を合わせて一煮立ちさせたもの)をかけ、香りのある野菜、鷹の爪などを乗せる。
煙が出るくらいに熱した油をかける。
頭部の分厚い皮がゼラチン質になり、口に含むととろりとして甘い。皮だけで御馳走といったものだ。身はタレに絡めて食べると豊潤でやたらに美味。ご飯に合う。
好んで食べる地域・名物料理
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加工品・名産品
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釣り情報
磯釣り、イシダイ釣りなどの外道。
歴史・ことわざなど
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地方名・市場名
参考文献 場所三重県尾鷲
参考林一兵衛さん 場所三重県志摩市大王町
参考林一兵衛さん、清野聡子さん、聞取 場所三重県志摩市大王町、福岡県福岡市中央卸売市場、長崎県対馬
場所佐賀県唐津、長崎県
参考文献 場所和歌山、紀州、熊野浦
参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所和歌山県周参見・和深
参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所和歌山県和歌山
参考文献 場所和歌山県塩屋・切目
参考文献 場所和歌山県太地
参考文献 場所和歌山県田辺
参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所和歌山県白浜町堅田
参考文献 場所大阪府堺
参考文献 場所山口県下関
参考青山時彦さん(宇部市青山鮮魚) 場所山口県宇部市宇部魚市場
参考文献 場所島根県松江市恵曇手結
参考文献 場所東京
場所熊本県牛深
参考文献 場所玄海
参考小田原魚市場原辰 場所神奈川県小田原市根府川
参考文献 場所神奈川県江ノ島
備考主に釣り人。 参考江崎恭志さん 場所福岡
参考〈テンスとの混称〉『さかな異名抄』(内田恵太郎 慶応通信 1956) 場所福岡付近
参考文献 場所福岡県志賀島
備考カンダイと混称。 参考〈テンスとの混称〉『さかな異名抄』(内田恵太郎 慶応通信 1956) 場所長崎
備考〈ナベクサラシ(鍋腐らし)はまずいからだろう〉 参考〈テンスとの混称〉『さかな異名抄』(内田恵太郎 慶応通信 1956) 場所長崎県壱岐
参考藤田晴大さん 場所長崎県大村湾・野母崎など
参考佐藤厚さん 場所長崎県雲仙市
参考福畑敏光さん、佐藤厚さん、藤田晴大さん 場所長崎県雲仙市・長崎市・佐世保市
備考カンダイとの混称。 参考〈テンスとの混称〉『さかな異名抄』(内田恵太郎 慶応通信 1956) 場所鹿児島
参考『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 場所鹿児島県種子島
場所和歌山県串本町
場所鹿児島県
場所静岡県沼津
場所徳島県阿南市椿泊(椿泊漁業協同組合)
場所愛知県一色
備考〈テンスとの混称。コベはコブダイ-カンダイの地方名〉『さかな異名抄』(内田恵太郎 慶応通信 1956) 参考聞取、文献 場所三重県尾鷲
備考〈テンスとの混称〉『さかな異名抄』(内田恵太郎 慶応通信 1956) 参考聞取、『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所三重県志摩市和具・大王町、三重県二木島、和歌山県和歌浦・白崎・塩屋、徳島県阿南市椿泊(椿泊漁業協同組合)・海部郡美波町伊座利
場所福岡県福岡市中央卸売市場
参考『土佐の魚』(蒲原稔治 高知縣文協協会1949) 場所高知県、愛媛県愛南町
備考最近、市場でもスーパーでもブダイと書かれて入荷するのをみている。また沼津魚の達人で仲買をしている菊地利雄さんによると近年沼津でもブダイと呼ぶことがあるという。これなどは形態からブダイと混同しているのかもしれない。 参考聞取 場所静岡県沼津市
場所和歌山県雑賀崎
参考文献 場所富山県四方・新湊・東岩瀬