イヌノシタ

代表的な呼び名アカシタビラメ

イヌノシタの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
全長40cm前後になる。イヌノシタ属は眼のない方には有孔測線がない。眼のある表には測線が2本(腹側の縁には測線がない)。全体に赤みがあり、やや吻(先端)が尖っている。ウロコがはがれやすい
全長40cm前後になる。イヌノシタ属は眼のない方には有孔測線がない。眼のある表には測線が2本(腹側の縁には測線がない)。全体に赤みがあり、やや吻(先端)が尖っている。ウロコがはがれやすい
眼のある表には測線が2本(腹側の縁には測線がない)。イヌノシタはやや吻(先端)が尖っている。ウロコがはがれやすい
珍魚度・珍しさ★★
少し努力すれば手に入る
魚貝の物知り度 ★★★★
知っていたら達人級
食べ物としての重要度 ★★★
一般的(流通量は普通)
味の評価度 ★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系カレイ目ウシノシタ亜目ウシノシタ科イヌノシタ属
外国名
Tonguefish, Tongue-sole
学名
Cynoglossus robustus Günther, 1873
漢字・学名由来

漢字 犬之舌 Standard Japanese name / Inunoshita
由来・語源 属名「Cynoglossus」を日本語訳したもの。世界的に見ても、Cynoglossus(イヌノシタ属)を代表する魚であったためでもある。
戦前1936年からこの標準和名であるが、既存の呼び名を無視した非常に安易な命名である。西日本の人間であれば、決してこのような名をつけることはないと思う。
Cynoglossus robustus Cynoglossus は犬の舌、robustus は硬い。『日本産魚類全種の学名 語源と解説』(中坊徹次・平嶋義宏 東海大学出版部 2015)
〈ウシノシタ科イヌノシタ屬イヌノシタ〉『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)

Günther,
Albert Karl Ludwig Gotthilf Günther (アルベルト・ギュンター 1830-1914 ドイツ→イギリス)。動物学者。
地方名・市場名

概要

生息域

海水魚。水深20-115mの砂地、砂泥地。
相模湾、三重県〜宮崎県延岡の太平洋沿岸、紀伊水道、瀬戸内海、有明海、東シナ海中央部大陸棚域、新潟県柏崎沖、島根県敬川沖、九州西岸。
朝鮮半島南岸、済州島、山東半島、中国南シナ海沿岸、広東省、台湾。

生態

産卵期は6月から8月。

基本情報

相模湾以南の浅場に生息するが、和歌山県西部・大阪湾から瀬戸内海に多い。
瀬戸内海を代表する魚のひとつでもある。瀬戸内海ではスーパーなどにも至って普通に並んでいる。
煮つけの定番的なものでもあり、ムニエルなどにしてもおいしい。
主に底曳き網で揚がるので、刺身などになることはほとんどないが、非常に美味。
珍魚度 普通の食用魚。ただし西日本、瀬戸内海周辺には普通に売られているが、東日本で手に入れるのはやや難しい。

水産基本情報

市場での評価 瀬戸内海周辺から入荷してくる。流通上は単にアカシタビラメとして取り扱われ、評価が高く、やや高値となっている。
漁法 底曳き網
産地 岡山県、山口県、兵庫県、香川県、愛媛県ほか

選び方・食べ方・その他

選び方

鱗がはげやすいので、体色などは目安にはなりづらい。触って硬いもの。腹が柔らかいものはさける。

味わい

旬は春から夏(?)
鱗は薄く剥がれやすい。皮に臭味はない。皮は硬く丈夫で剥がれやすい。中骨はやや硬い。身に小骨がない。
白身で新しいと透明感がある。熱を通しても硬く締まらない。身離れがいい。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

イヌノシタの料理・レシピ・食べ方/ソテー(ムニエル)、焼く(塩焼き)、揚げる(唐揚げ)、煮る(煮つけ)、生食(刺身)
イヌノシタのムニエル 身は薄いものの、身離れが言いので、食べやすく、意外に食べでがある。鰭が香ばしく身はしまっているがうま味がある。非常に美味。
頭部から尾に向かって皮をはぐ。ウシノシタ科では剥がしやすい。内臓などを取り去り、塩コショウする。小麦粉をつけてオリーブオイルでじっくりとソテー。バターで香りづけした。

イヌノシタのフライ 国内ではともかく、ウシノシタ科の魚はフライ素材としてよく使われている。皮ごとパン粉をつけて揚げると、皮の独特の風味と上品な白身の味が楽しめて絶品である。
水洗いして五枚に下ろす。水分の多い魚なので、ていねいに拭き取り、塩コショウする。小麦粉をまぶし、パン粉をつけて揚げる。
イヌノシタの天ぷら 表側と目のない裏側では別の味である。写真は裏側で皮に風味はなく、淡泊で上品な味である。
水洗いして五枚下ろしにする。水分をよくきり、軽く振り塩をする。少し置き、出て来た水分をきり、小麦粉をまぶし、衣をつけて高温で揚げる。
イヌノシタの唐揚げ 取り分け鰭が香ばしく、スナック感覚で食べることができる。
小振りのものは水洗いして水分をよくきる。片栗粉をまぶしてじっくりと二度揚げする。鰭際が香ばしく、皮に独特の風味がある。
イヌノシタの煮つけ 上品な白身だが、うま味・甘味がある。ご飯のおかずとして毎日食べても飽きない。煮汁に素麺をからめてもいい。
鱗、内臓を取り水洗い。鍋に合わせて切る。湯通しして冷水に落として鱗ぬめりを流す。これを酒、砂糖、しょうゆでこってりと煮つける。酒、塩など調味料はお好みで。
イヌノシタの塩焼き 焼くときには皮付きがいいと思う。香ばしく焼くと皮目に独特の風味がある上に身がしっとりとして甘味がある。身離れが少し悪いのが難点だが味わい深い。仕上げに酒をぬってもいい。

好んで食べる地域・名物料理

瀬戸内海周辺。
くちぞこの唐揚げ 佐賀県鹿島市で買い求める。

加工品・名産品

干物

釣り情報

歴史・ことわざなど

地方名・市場名

アカシンマキ
参考聞取 場所愛知県西尾市一色 
イヌノシタ
場所標準和名 
アカシタ アカシタビラメ
備考またアカシタビラメを「アオシタ」、コウライアカウシノシタを「ばけした」。 場所関東の市場、福岡県柳川市、泉佐野 
アカベタ ベタ
場所大分県中津市 
アカレンチョウ
場所山口県宇部市 
ゲンチョウ
場所愛媛県西条市 
ダイチョウ
場所岡山県備前市日生 
レンチョウ レンチョウガレイ
参考スーパー表示、聞取 場所広島県坂町、山口県宇部市・周南市 
ウシノシタ ウシノシタカレイ
参考文献 場所山口県下関