ツキヒガイ

ツキヒガイの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
殻高・殻長12センチ前後、円形の二枚貝。貝殻は円形に近く、非常に薄い。耳上突起は小さく、左殻は赤褐色、右殻は黄色みを帯びた白で膨らみは少ない。
貝殻は非常に薄く、右殻の膨らみも弱い。
殻高・殻長12センチ前後、円形の二枚貝。貝殻は円形に近く、非常に薄い。耳上突起は小さく、左殻は赤褐色、右殻は黄色みを帯びた白で膨らみは少ない。
後閉殻筋(貝柱)が大きく前閉殻筋は退化してない。軟体、貝柱は大きく歩留まりが非常にいい。
殻高12センチ前後になる大型の二枚貝。貝殻は円形に近く、非常に薄い。耳上突起は小さく、左殻は赤褐色、右殻は黄色みを帯びた白で膨らみは少ない。
殻高12センチ前後になる大型の二枚貝。貝殻は円形に近く、非常に薄い。耳上突起は小さく、左殻は赤褐色、右殻は黄色みを帯びた白で膨らみは少ない。

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魚貝の物知り度 ★★★★
知っていたら達人級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★★
究極の美味
分類
軟体動物門二枚貝綱翼形亜綱イタヤガイ目イタヤガイ上科イタヤガイ科ツキヒガイ亜科ツキヒガイ属
外国名
Japanese moon scallop, Saucer scallop
学名
Ylistrum japonicum (Gmelin, 1791)
漢字・学名由来
漢字 月日貝 Tsukihigai
由来・語源 武蔵石寿『甲介群分品彙』による。左殻が赤味を帯びた褐色であるのに対して、右殻(貝殻の内側かも)が明るいクリーム色なのを「昼と夜」=「月(夜)と太陽(日)としたもの。『原色・自然の手帳 日本の貝』(奥谷喬司、竹村嘉夫 講談社 1967)など。
魚鑑 〈つきひがい 清俗(からのぞく)に日月蠔(じつげつこう)一名蟫蠣(たんい)といふ、大サ二三寸、殻丸く、半片は白く半片は紅なり、薩 勢紀(さつま いせきい)に産す。柱寸(いっすん)余味ひ美。〉『魚鑑』(武井周作 天保辛卯 1831)

古くはタイワンツキヒやタカサゴツキヒなどがあったが新参和名となる。
シノニム/Amusium japonicum japonicum (Gmelin,1791)


月と日 左殻が赤味を帯びた褐色であるのに対して、右殻(貝殻の内側かも)が明るいクリーム色なのを「昼と夜」=「月(夜)と太陽(日)としたもの。『原色・自然の手帳 日本の貝』(奥谷喬司、竹村嘉夫 講談社 1967)など。
月齢 個人的には、左殻と右殻の外面でついた呼び名だというが、内側を重ねて月の月齢を表して遊んだのではないかと思う事がある。写真は三日月から下弦の月に向かう様。
魚鑑
『魚かゞみ』(著者/武井周作、画/一勇斎国芳)。天保2年(1831年)。魚貝類の和漢書(事典)。武井周作は江戸日本橋長浜町の蘭方医で本草家。
甲介群分品彙
武蔵石寿著。『目八譜』が出る前、1836年(天保7)。605種の貝を掲載。
Gmelin
Johann Friedrich Gmelin (ヨハン・フリードリヒ・グメリン、1748〜1804年)。ドイツテュービンゲン(チュービンゲンとも)生まれ。博物学者。動物学、植物学、鉱物学もおさめた。カール・フォン・リンネの『自然の体系』第十三版の編集など、多数の諸作がある。カサガイ類、二枚貝のツキヒガイ、センニンフグ、テンガイハタなど国内に生息する動植物の記載も多い。
地方名・市場名

概要

生息域

海水生。水深10〜100メートル。
房総半島・山陰〜九州。西太平洋。

生態

自由生活を送り、貝殻を急激に動かして長距離を移動する。

基本情報

東海、西日本では比較的よく見かけ、買い求めている。
漁は全体的に少なく、好不漁の波が大きい。ときに底曳き網などでまとまってとれることがあり、全国的に流通することもある。産地は限られている。
イタヤガイ科のなかでも味はトップクラス。貝柱の大きさではホタテに敵わないが味的には上。

水産基本情報

市場での評価 西日本ではやや高値。関東などではあまり評価が高くない。
漁法 底曳き網
産地 鹿児島県、愛知県など

選び方・食べ方・その他

選び方

触って反応のあるもの。液体などが出ているもの、軟体の柔らかいものは古い。
剥いたものは貝柱の丸くて膨らみのあるもの。

味わい

旬は春から夏。
貝殻が薄く全体に軽い。
貝柱は季節によって大きさが変わるものの、うま味が強く食感もいい。ヒモなども美味。


軟体 前閉殻筋(貝柱)は退化してほとんどなく、後閉殻筋(貝柱)は中央にあり大きい。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

ツキヒガイの料理法・レシピ・食べ方/揚げる(フライ、天ぷら)、生食(刺身、あぶり)、焼く(焼き貝、つけ焼き)、ソテー(バター焼き、アヒージョ)、煮る(煮つけ、鍋)
ツキヒガイのフライ 剥き身にして貝柱だけにする。塩水で汚れなどを落とし、水分をよくきる。塩コショウして小麦粉をまぶし、衣(卵・小麦粉・水で、少量の場合は卵だけでもいい)をからめパン粉をつけて揚げる。高温で短時間揚げて、中心部分は揚げた後に火が通るくらいがいい。うま味甘味が強く、加熱して少し締まった身が口の中でほぐれるのが心地よい。

ツキヒガイのあぶり 剥き身にして貝柱を取る。軽く塩水で洗い、水分をよくきる。表面をバーナーであぶって刺身状に切る。炙ることで貝らしい香りが立ち、強い甘味とうま味があって、非常に味わい深い。
ツキヒガイの刺身 剥き身にする。ひもなどを鳥、塩水で軽く洗い。水分をよくきる。これを刺身状に切る。味はホタテガイと同じようなものだが、甘味・うま味が強く、ほどよい食感がある。大小に関わらずとてもおいしい。
ツキヒガイの焼き貝 片方の貝殻を外す。汚れがあったら塩水の中で洗う。水分をよくきり、上下の火で短時間焼き上げる。仕上げに酒・醤油を合わせたもので味つけする。焼くと貝らしい香りが立ち、貝柱はあまり硬くならない。ひも・内臓なども嫌みがなくとても美味。
ツキヒガイのつけ焼き 剥き身にして塩水で汚れなどを流す。水分をよくきり、串に刺して少し冷蔵庫で寝かす。これを焼き上げる。7分通り火が通ったらみりん・酒・醤油を合わせたものを塗りながら焼き上げる。調味料の味と貝の風味、柔らかな貝柱などが合わさり非常においしい。
ツキヒガイのバター焼き 剥き身にする塩水で汚れなどをよく洗い流す。塩コショウして小麦粉をまぶして多めの油でソテー(このときニンニクの香りをつけるといい)。仕上げにバターで風味づけする。貝とバターは非常に好相性、相乗効果で非常に味がよくなる。
ツキヒガイひものアヒージョ ひも、生殖巣などを使う。塩水でていねいに洗い汚れをていねいに流す。耐熱性の器にオリーブオイル、にんにく、黒コショウ、ひもなど、好みの野菜を加えて火にかける。湧き上がってきたら出来上がり。貝自体もさることながらオイルがとても美味。パンを添えたい。
ツキヒガイの鍋 剥き身にして軽く湯通しする。冷水に取り、適当に切り、水分をきっておく。これを豆腐と一緒に、湯通ししたときの汁・酒・刺し昆布の中で煮ながら食べる。あまり煮すぎない方がいい。軟体のうま味を吸った豆腐が実に味わい深く、煮汁で雑炊などを作ってもうまい。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

歴史・ことわざなど

貝細工の帆 〈貝細工にはもってこいの色あいで、よく宝船の帆などに使われている〉『原色・自然の手帳 日本の貝』(奥谷喬司、竹村嘉夫 講談社 1967)

地方名・市場名

カミサラガイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所三重県熊野市二木島 
オイオッキ オツキサンガイ[お月さん貝]
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所大分県佐伯市蒲江町 
ヒラガイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所山口県萩市越ヶ浜 
ホンミミガイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所山口県長門市通 
ツキミ ツキミガイ[月見貝]
参考20201120一色 場所愛知県西尾市一色 
ツキヒガイ[月日貝]
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所玄海(福岡県) 
エボシガイ ヒノマルガイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所福岡県古賀市古賀 
オツキサマガイ[お月様貝]
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社)) 場所福岡県志賀島 
ヒノデガイ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所福岡県福津市福間 
オツキガイ[お月貝]
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所高知県高知市御畳瀬 
ヒロンゲ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所鹿児島県串木野 
ヒドンゲ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所鹿児島県串木野・阿久根 
オゼンゲ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所鹿児島県串木野市・出水市 
ツッゲ[月貝] ツキガイ[月貝]
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所鹿児島県大隅町根占町・串木野市 
モッゲ サラゲ
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所鹿児島県日置市吹上