202404/08掲載

ヒレナガカンパチは惣菜魚なのだ!

カンパチと瓜二つに見えるけど、華麗なるコスモポリタン


八王子綜合卸売センター、舵丸水産、クマゴロウが銭州で大釣りしてきた中に、ヒレナガカンパチが入っていた。今年の銭州はシマアジだらけで、釣り師のプライドからして「こっちを見ろよ」、と言われている気がするが、ボクはへそ曲がりなのでこっちに目が行く。
市場で同じブリ属(ブリの仲間)のカンパチと並んでいたら、料理人はまずヒレナガカンパチは選ばなくなった。やっと市場での価値が安定してきたものと見える。
両種は見た目がそっくりである。特に市場や魚屋では鰭が寝ているので、見わけがつかないという人の方が多いだろう。カンパチよりも少しずんぐりしていて、背鰭を立てると「鰭長間八」の名の通りにやけに長い。
温かい海域にいるカンパチよりも、より温かい海域を好み。世界中の熱帯から温帯域に生息している。
ちなみに、カンパチのおいしさを頭に描いて買うと、少しがっかりするはずだ。ただ、ヒレナガカンパチという別の魚を買ったと思えば、近年の価格帯からすると納得がいくと思う。
最近、魚全般の値段が急激に上がっている。コロナのときから右肩上がりが続いている。
それからすると歩留まりのいいヒレナガカンパチは安くておいしい、という評価が定着しそうだ。
ほんの十年くらい前まで、ヒレナガカンパチは相模湾では珍しい魚だった。今でも湾北部には少なく、伊豆半島でも伊東あたりにいくと、カンパチよりも多いときがある。
明らかに温暖化の申し子である。
最近、豊洲だけではなく、関東周辺の市場では標準和名で流通している。このサイズでカンパチなら、「シオッコ」などと呼ぶことが多いが、大小にかかわらずヒレナガカンパチとしか呼ばれない。
本来とれなかった、扱わなかった地域では、流通上標準和名が使われる。その典型的な例である。

刺身で食べると、飛びきりとまではいかないが、とてもうまい


さて、本種は刺身にしてもとても味わい深い。
ブリの若魚のイナダと同等の味わいである。夏ならば本種の方がイナダよりも上だと思う。
嫌みがなくて魚らしい味わいが豊かなのである。

おかずにしてもいいと考えると料理法がいろいろ増えてきそう


嫌みがなくて魚らしい味わいが豊かなのである。
ただ昨今の値段を考えると、普通の惣菜にしてみてはいかがだろう。
今回はご飯にもパンにも合う時短簡単料理、バター焼きである。
水洗いして三枚に下ろし、腹骨・血合い骨を取って食べやすい大きさに切る。
塩コショウして小麦粉(今回は全粒粉)をまぶし、多めの油でじっくり香ばしくソテーする。
仕上げにバター(マーガリン)で風味づけする。
今回、仕上げのときにルッコラを加えて仕上げた。
このままでもいいが、醤油を落としてご飯に乗っけると、非常にうまい。
ヒレナガカンパチバター焼き丼にしてもいいだろう。
昼時に格好の飯の友である。

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ヒレナガカンパチのサムネイル写真
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