東京都大田市場、TSUKASAで市場飯
市場の関連棟の楽しさは行って見ないとわからない
東京都大田区東海、大田市場でうんとうまい市場飯を食らった。市場飯は「食す」でも「いただく」でも、「食べる」でもなく、「食らう」のである。野生を取り戻し、がっついて食ってこその市場飯だ。
くどいようだが、市場の旅につきものなのが市場飯である。ほぼ47都道府県の市場飯を食べているが、過酷な市場巡りの後の「食い気」は年をとっても衰えない。
いきなり寄り道になるが10年以上前、重い荷物を持っていたらターレーに乗った若い衆が正門まで乗せてくれたことがある。途中で「飯を食おうか」と言って、一緒に行ったところが「吉野屋1号店」だった。単純に「大盛り牛丼の汁だく」にみそ汁だった。この店員さんも、仲卸の社長クラスですら、「水産物飯」ではない。社長クラスが築地時代に連れて行ってくれたのも、中華だったり、恐るべきことに焼肉だったりした。
間違いなく真の市場人で魚介類を食う人は少ないと思っている。さかな、さかな、と市場に来る人は9割方観光客だろう。これなど豊洲市場の千客万来というぼったくり飯を見ても明らかである。
ボクも自宅では年間1500以上の魚料理を作って食べているので、市場に行ったときくらい魚は避けて通りたい。だいたい仕入れ値がわかる人間なので、向こうもイヤだろう。
ただし、カネ十のトッツァマみたいに、年がら年中『い和多』の日替わり弁当ってのもイヤだけど。
大田市場には有名なすし屋もあり、人気の海鮮丼を出す店もある。こんなところにも行ったことはあるが、基本はそば屋か中華にしている。
ちなみに大田市場の関連棟はとても面白いのである。今回は魚を持っていたのでやっちゃ場には行けなかったが、市場の水産棟よりも、青果や脇の関連棟での時間が長かったりする。
今回、そば屋にするか、中華にするか、迷って右往左往し、結果、中華の店『つかさ』にした。決め手は客の数である。客が出ていったと思ったら、すぐに後から客がくる。行列の出来る店なんてエンガチョーンで、この程度がいちばんいいのだ。
入ったら間違いなく家族経営の店だった。大田市場では過去にも中華を食べているが、店の名前はおぼえてない。
次か次かと待つのも楽し、市場中華
品書きを見ると、迷える子羊ちゃんのようになる。特にセットものが魅力的である。カレーと中華そばなんて黄金の組み合わせだと思う。チャーハンを注文する人が多いってことにもこの店の実力がうかがえる。
ほぼカレーと中華そばに決めたと思ったとき、ふと、目の前を見ると、豚肉の油通しをしていたのだ。できれば中華の炒め物のとき肉系をいきなり中華鍋ってのはよして欲しい。作っているのは、たぶん「しょうが焼き」とふんだが、同じ肉系なら大好きな「レバニラ炒め」があるじゃーありませんか。
市場中華のいいところは料理の工程が見えるところだ。
お父さんが炒めて皿に盛る、決して若くない息子さんがご飯とスープを用意してカウンターに置くと、オッカサンが客まで運ぶ。これなど広島市の名店『餃子センター』に負けないコンビネーションプレイだと思う。
まだかまだかとジレジレしながらも、今度はチャーハンなので次だろう、とか思うのも楽しいものである。