202310/06掲載

カツオの生節を作るのなんて超簡単!

小ガツオは安いので生節向き

小カツオ

八王子総合卸売協同組合、マル幸で10月2日に買った神奈川県佐島産小ガツオ(全長43.5cm・1.341kg)は半身を「生節」にした。
「煮節」、「ゆで節」、「いで節」、「生利節」ともいう。スーパーなどにも普通に置かれているが、関東では食品棚の隅っこが定番位置、といったもので、まだ一度も食べたことがない人も多いのではないか。
そのまま食べてもいいし、甘辛く煮てもおいしい。鮮魚と比べると下ごしらえ不要なので、忙しいときなどにもっと活用して欲しいものである。
「生節」とはなにか? カツオはとても「足の速い魚」である。今現在、カツオは一般流通(加工品流通ではなく)では鮮魚か冷凍が普通だ。これは冷蔵技術・輸送技術が向上したためで、鮮魚が多く出回るようになったのは、1950年代になってからだと考えている。
それじゃ、江戸時代後期、江戸っ子が小判3両出してでも買っていたカツオはどうなんだ、となる。初カツオが生か、生に近い形で食べられたのは、大消費地である江戸の町と産地である相州(神奈川県相模湾周辺)、上総(房総半島)が近かったのもあるし、また江戸が国内でも随一のお金持ちの町でもあったためだ。
江戸時代は歴史的に見ても寒冷な時代だったとされている。それでも旧暦の4月・5月(新暦の5月下旬から7月初旬)に相州・上総で揚がった初ガツオを、生で食べられる状態で江戸の町まで運ぶのはとても大変だった。それを可能にしたのは人力(人足)である。船にしても、陸路にしても漕ぎ手を増やし、大人数で野山を駆けて運んだに違いない。カツオの代金には、このたくさんの人力のための代金(運送料)が入っていたのだ。たぶんだけどこれだけお金をかけても当たる人はいたはずだ。

ゆでて風をあてて冷ましただけでも生節


ちなみに関東でもっとも普通に出回っていたのは「塩ガツオ(塩漬けにしたもの)」だと思っている。この「塩ガツオ」も、とても重要な伝統食品だが、また別の機会に述べたい。
カツオは、浜に揚がったら、すぐにゆでるか、塩づけにした。このゆでたものを乾かしたものがカツオ節である。このカツオ節は後々様々な工夫がなされて今にいたっている。
カツオの産地では、このゆでて扇風機などで冷やしただけの「生節」が、他の地域にも増して食べられている。「生節」には鮮魚店やスーパーなどで作られているものもあるし、カツオ節工場などで大量に生産されているものもある。また「生節」専門の工場もある。カツオ節製造過程で「生節」は半製品といったものでもあるし、ゆでて(煮熟して)、冷やし表面の水分をとばすだけではなく、燻煙(スモーク)したものもある。

じっくり焼き上げると飴色になる


我が家の「生節」は高知県中土佐町久礼のスーパーで聞取したやり方を参考に、自分流にアレンジしたものだ。
久礼では、「生節」ではなく「煮節」といい、主に「めじか(マルソウダ)」で作るが、カツオで作ることもあるという。町なかで「もともとは家庭で作っていた」という話を聞いて、「生節」はぐっと身近なものになった。
ちなみに中土佐町だけではなく、徳島県海部郡海陽町の鮮魚店でも「生節」は作られている。
きっと今現在ももっと遙かに広い地域で、カツオ節工場以外の「生節」は作られているのだ、と考えている。

そのままでもいいが、食べる直前にもう一度焼くとうまい

もう一度焼いた生節

作り方は水洗いして3枚に下ろす。
ここでは半身を塩分濃度の高い湯で10分程度ゆでる(ゆで時間は大きさで変わる)。
ゆで上がりをザルなどにとり、扇風機で冷やすとともに表面の水分をとばす。この状態で食べてもとても味わい深い。
2日程度冷蔵庫で干す(気温が低い時期なら外干しする)。
干し上がったら、ごく弱火で1時間くらい焼く(これはボクの工夫)。
こうすると冷蔵保存で1週間くらい食べ続けられる。
食べ方は簡単。食べやすい大きさに切り、再度焼いて、マヨネーズや醤油をつけて食べるだけ。

食べ方はいろいろ、お好みで

梅マヨで食べる生節

最近、マヨネーズと梅肉(チューブ入りの)を合わせたもので食べているが、こんなざっかけない食べ方で食べるのがいちばんうまい。
今回は半身なので全部そのまま食べてしまったが、出盛りの里芋と煮ることも多い。
先に「生節」は都会ではスーパーの隅っこに置かれていると述べたが、食べたことのない方へ! この隅っこに置かれた「生節」を一度食べてみてはいかがだろう。アミノ酸バランスがよく低カロリー、しかもとても簡単に食べられる。おいしかったら次は、自分で「生節」を作ってみてもいい。

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カツオのサムネイル写真
カツオStriped tuna, Skipjack tuna, Oceanic bonito海水魚。日本近海。日本海北部には少ない。朝鮮半島南岸、済州島。世界中の熱帯〜温帯海域。・・・・
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