202310/01掲載

利島沖クサヤモロを1尾丸ごと天ぷらにする

大型は釣り餌にはならないが、くさやに最適

クサヤモロ

八王子総合卸売協同組合、マル幸、クマゴロウが利島沖で釣り上げた、クサヤモロは非常に大型で体長38cm・0.67kgもあった。持って帰ってきたと言うことは、たぶんデカすぎて餌にならなかったのではないかと思われる。
相模湾、伊豆諸島周辺にはムロアジ(赤むろ)とクサヤモロ(青むろ)ともに生息している。2種では後者が少しだけ水温の高い水域にいて、ある意味、棲み分けているのではないだろうか? 伊豆諸島周辺で釣り師が釣ってくるのはクサヤモロばかりだ。たぶんだが、本種の漁獲量がいちばん多いのも全国的にみても伊豆諸島周辺だと思っている。
伊豆諸島の特産品「くさや」の代表的な原料だからこの呼び名がある。「くさや」のほとんど総てが関東で食べられている。昔、島根県の漁師さんと築地場内を歩いていたとき、段ボールに入った「くさや」を嗅いだときの漁師さんの表情が忘れられない。鼻をつまんで「これ食べる人がおるんかい(出雲弁で)」と言われたのだ。ビニールで密閉されていたのに匂いを感じたのは、「くさや」初体験だったためだろう。
西日本ではまだいちども「くさや」を見ていない。ついでに2000年前後、福岡市柳橋連合市場の乾物店で聞取したら過去に何回か仕入れたことがあるというが、当然の如く売れなかったという。

揚げたての天ぷらくらいうまいものはない

クサヤモロの天ぷら

先週は猛烈な週だったので、これをあれこれ料理する時間がとれなかった。思い切ってくずす。
水洗いして三枚に下ろし、腹骨・血合い骨を取る。
皮を引き、細かく切り、さらに徹底的に包丁でたたく。
本当はこれを当たり鉢でするのだけど、時間がないのではぶく。
塩・砂糖・ショウガの搾り汁・みりん・酒・水多めの水溶き片栗粉を加えてボウルで錬る。
味見のために団子にして揚げては味加減する。
ついでだからノンアルコールビールをぷしゅっとして、揚げては食べてみるがどこかしらもの足りない。
ちょうど真横に作りたての「かぐらなんばんみそ」があったので少し加えて揚げたら大正解だった。「かぐらなんばん」はつぶしたピーマンのような形の唐辛子で信州では「ぼたんごしょう」という。「かぐらなんばん」をみじん切りにして炒め、みそ・酒・砂糖でを加えてねりあげたのが「かぐらなんばんみそ」である。
クサヤモロは旬が短く、ムロアジと比べると脂が乗った時季が短い。ただ、ムロアジ以上に身にうま味がある。当然、天ぷら(薩摩揚げ)にすると非常に美味だ。
揚げている内に止められなくなる。やはりみそが入った方がピリ辛するのもあって野趣豊かでいい。
最初、天ぷらをじゃがいもとたいてみようか? とかいろいろ考えて作った天ぷらを全部そのままで食い終わる。

このコラムに関係する種

クサヤモロのサムネイル写真
クサヤモロMackerel scad海水魚。沿岸や諸島部の水深40-200mの中・下層。伊豆〜小笠原諸島、青森県津軽海峡、相模湾〜九州南岸・屋久島の太平洋・・・・
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