202306/11掲載
初夏の宵、子ケンサキの塩ゆで
子ケンサキは非常に脆弱

八王子綜合卸売協同組合、マル幸水産に長崎県佐世保から子ケンサキがきていた。子ヤリはしばしば入荷をみるが、子ケンサキは珍しい。
ケンサキイカは国内でも比較的暖かい海域に生息している。ほんの20世紀の終わり頃まで、関東での高級ツツイカの主役はより冷たい海域にいるヤリイカだった。ヤリイカが冬ならケンサキイカは夏のイカでもあった。しかも入荷量はヤリイカほど多くはなかったのだ。それが今や年がら年中市場にある。しかもたっぷりあるのは、絶対に温暖化のせいである。だからケンサキイカの豊漁は手放しには喜べない。少しだけ後ろめたさを感じながら買うケンサキでもある。
さて、子ケンサキをあまり見かけないのは、軟体部分が柔らかいために漁の間に傷ついたり、遠くまで運びにくいためだろう。
子ヤリよりも柔らかく、甘味が強いのでもっと入荷してきて欲しいな、なんて思いながら袋に詰め込んで帰ってきた。
火をつけている時間は1分

持ち帰ったはいいが、我が家は魚だらけなのでいちいち墨袋やわたをとっている暇がない。こんなときは持ち帰ったらすぐに多めの塩水でゆでてしまう。
沸騰した状態で投入して、大きさにもよるが今回は1分ほどゆでて火をとめ、そのまま鍋止めする。
冷めたらげそを抜き、墨袋をとり、汚れをゆで汁の中で洗う。このゆで汁は別に汚いわけではないし、いろんな料理に使えるので濾して保存して置く。