202303/02掲載

かじか汁のすゝめ

海カジカとは?


北海道羅臼、丸の野水産、野圭太さんにカジカ類をたっぷり送って頂いた。
中に「真かじか」と呼ばれるトゲカジカが混ざっていた。別名「鍋こわし」である。カジカというと河川にいる小さくて黒い魚(カジカ、ウツセミカジカ)を思い浮かべる人も多いと思うが、食用魚としては海に生息するカジカ類の方が重要なのである。
カジカ類(カジカ科)の中でも大型になるのがギスカジカ属で、国内でギスカジカ、オクカジカ、シモフリカジカと本種の4種が揚がる。なかでももっとも大きくなるのが本種だ。北海道などの市場で腹を上に向けて並んでいるのを見ると、あまりにもデブなので笑ってしまうやら、身につまされるやらだ。
大型のカジカ類料理の定番は汁(鍋も含めて)だ。
北海ということでいえば、じゃがいもやニンジン、ゴボウ、大根など根菜類たっぷりで作る「かじか汁」が有名である。昔、函館でなんども煮返したどろどろの「かじか汁」を食堂のサービスで食べて、粗野ではあるが、端的にうまいのでお代わりをしたことがある。
丼ものを食べていたのに、白飯を追加してしまうほどうまかったし、塩分濃度も少し高めだった。

「カジカ汁」は素晴らしい


今回は北海道の「かじか汁」ではなくて「真かじか」だけのみそ汁にする。重要なのは肝と胃袋である。
食べて気になるような鱗はないので、鰓と内臓を除去してていねいに洗い適当に切る。このとき肝と胃袋は取り分けておく。
肝と胃袋以外は湯通しして(鮮度がよければ必ずしも必要ではない)冷水に落としてぬめりを流す。水分をよくきる。
これを水から煮出して、みそを溶く。煮だし時間は少し長めがいい。
この汁のおいしさは例えようがない。北海道民に長年愛されてきたわけがわかる。切り身についた身をていねいに食べると、このうまさにも驚くだろう。
ちなみに「かじか汁」のカジカの身は箸で食べてはいけない。野生に任せて手で食べてこそのものだ。
大型のカジカは汁に限るのだけど、もっと多くの人にこの味をおぼえてほしい。「かじか汁」で人寄せ(パーティ)をしてはいかがだろう? 子供に骨を避けながら食べるすべを教えたい、と思うが、それに賛同する親がいるといい。
ちなみに「かじか汁」は一時に大量に作った方がうまい。

このコラムに関係する種

トゲカジカのサムネイル写真
トゲカジカGreat sculpin海水魚。水深50-300m。新潟県佐渡、秋田県、青森県、岩手県、北海道全沿岸。朝鮮半島東岸〜沿海州、間宮海峡、千島列・・・・
詳細ページへ

関連記事 ▽




呼び名検索

方言を含む全ての名(標準和名,方言,呼び名,外国名,学名)から水産物を検索します。

閉じる