小型のハガツオは塩焼きがいちばんだった
こんなに小さなハガツオなのに塩焼きが滅法うまいとは

八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産に下関市赤間町『下関勇次水産』から45cm・1.4kg のハガツオが来ていた。
小振りだし、週明けなので鮮度は抜群とは言い難い。
ただし触った感じがいいのである。
以上は前にも述べた。
1本全部余すところなく食べたが、今回だけは塩焼きがいちばんだった。
三枚に下ろして切り身にして、切身3切れだけ振り塩をし、そのまま寝かす。
水分が出て来たら袋に入れて密閉して3度に分けて食べた。
づけ、塩焼き、みりん干し、煮つけ、ポシェ、フライにして、塩焼きがいちばんおいしかった。
この場合のいちばんは今回限りのことで、ボクのいちばんはコロコロ替わる。
ときどき食のエッセイなどで、普遍的な意味で、こうすべきだとか、この食べ方がいちばん、だとか、何々はこれに限る、とか書いているのを見るが、愚かしいとしかいいようがない。
言語能力が低いのだと思う。
一人で歩き出たばかりの幼稚園生のようだし、食べ物の本質がわかっていない。
食は緩みのないハンドルのようではなく、ハンドルのない乗り物のようだ。
好みも、味の評価も日日時々に変化する。
ということで今回だけは塩焼きが滅法うまかった。
ということで次回は違うかも知れない。
こんな不安定さが食べ物のいいところなのだ。
小振りだったし、それほど脂がのっていたわけでもないのに、焼いた香りに脳みそを直に触られるような快楽を感じた。
皮にも豊かな味があり、身にも名状しがたい味があった。
切り身の大方をみりん干しにしてしまったことを後悔した。
ご飯の友と、お茶の友として、買った日の昼に、あっと言う間の3切れでした、という制御不能の自分を大いに反省した。
今回だけは、ハガツオは塩焼きに限る。