202302/24掲載

スズメダイの塩焼き

あくまでも釣り師には外道


あまりにもタコが好きで体形までタコになった蛸さん(たこさん・岩崎薫さん)に、剣崎沖のスズメダイをいただく。
狙いはイシダイであって、これは釣り人のいうところの外道というヤツだ。イシダイに味で負けていないスズメダイだけど、釣り味を優先する釣り師にとっては残念な魚であって、釣り上げてもプルプル程度では面白くないだろう。
流通上でスズメダイはめったに手に入らない。だから外道でも持ち帰ってくれて、ボクにくれる人はいい人、としか言いようがない。蛸さんまことにありがとう!
さて本種は温かくなると福岡県で値を上げる。梅雨前など明らかに高級魚と化す。九州全域から福岡市長浜、鮮魚市場にやってきて、場内のどの仲卸にも「あぶってかも(スズメダイ)」が置かれている。
産卵期と重なる、この時季になると触っただけで手に脂といった感じで、見た目からしてギラついている。焼いたら鴨の味がするというのもあながち大げさではないだろう。
この旬のスズメダイの塩蔵品を「あぶってかも」という。福岡で飲むと、仕上げに長浜ラーメンなのだけど、「あぶってかも」をつまみにすると後の長浜ラーメンがいらなくなるくらいに脂ぎってうまい。

時季外れでもうまい


さて、2月のスズメダイはいかがだろう。予め言っておくが関東のスズメダイも初夏になると脂が矢鱈に乗るのである。
残念なことにそれほど脂があるとはいえない。それでも焼いて食べたら、非凡なうまさなのである。どのように書けばわかってもらえるのだろう。この小魚の味は。筋繊維がきめ細やかで、身離れがよく、身に味、というか味に奥行きがあるのである。
蛸さんに告ぐ、今度スズメダイ乗り合いがあったら乗ってネ。

このコラムに関係する種

スズメダイのサムネイル写真
スズメダイPuller, Surgeant-major, Damsel, 尾斑光鰓雀鯛、厚殼仔、藍雀、黑婆海水魚。岩礁域、サンゴ礁域の水深2〜15m。青森県〜九州南岸の日本海・東シナ海・太平洋沿岸、瀬戸内海、八丈島、屋久島。・・・・
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