202504/06掲載

コタマガイの話

模様は色も形もバラエティに富んでいる


北海道から九州の外洋に面した砂浜に生息している。ハマグリと同じマルスダレガイ科の二枚貝で、少しだけハマグリに似ているが、一回り小さい。貝殻が正三角形に近く厚みが薄い。独特の模様があるが、とてもバラエティに富んでいる。
標準和名(図鑑に掲載されるときの名)コタマガイは、正しくは「こだまがい」で東京周辺で使われていた呼び名である。漢字にすると「小玉貝」だが、由来はいろんな説があるがはっきりしない。
成長すると貝殻の大きさが7㎝超える。なんだ7㎝かと思われるかも知れないが、二枚貝としては大きい方だ。
国内ではいたって平凡な食用貝で、たぶん水揚げ量もそれほど少なくない。

不思議な二枚貝で、ある日突然、砂浜に大量発生することがあり、ニュースになったりする。
我が家に初めて来たのは何十年も前のことで、知人のまた知人というか見知らぬ人から大量に送られてきた。
たぶん鳥取県の方からで、こちらもニュースになっていたようで、浜辺は本種を探す人だらけだという。
渚を裸足で歩いていると、足の裏に貝が当たり、それこそごろごろと見つかる。
ただし、そんな騒ぎも貝と一緒にあっと言う間に消えてしまう。
秋田県の方にももらったことがあるし、宮城県からも送られてきたこともある。
ちなみに、送られて来た理由は共通して、「貝の名を教えて?」というものだ。
突然とれるけど、突然いなくなって何年もとれない。また突然とれる、というのを繰り返す、だから名前を忘れてしまうようなのだ。
一端とれ始めると、渚を歩くだけで、ごっそりとれ、見た目がきれいなので印象に残るのだ。

貝売り場には、種類を決めないで貝を買いに行こう


浜辺の貝騒動はおいておいて、日本各地でとれるため流通上は決して珍しいものではない。スーパーにも並ぶ。
それでも1年に何度か、この貝の名前を聞いてくる人がいるのは、突然、入荷し始めて、ぱたりと入荷しなくなる。
産地がてんでんバラバラで安定しないためだろう。
二枚貝はそんなに重要な商材ではないけど、本種は見た目が面白い割りに安いので、売れる商材なのだ。
消費者の方達も三角形の二枚貝を見つけたら買ってみてはいかがだろう。
今年(2025年)も、東京都内のスーパーにも並んでいるのに売れているようには思えない。
小売店などの貝売り場に行くとき、「アサリを買おうと」思って行くから目につかないのかも。
小売店に貝を買いに行くときは「貝を買おうと」思って探すべきだ。

安くておいしい二枚貝なのでぜひお試しを


ハマグリと同じように吸物にもなるし、みそ汁にもなる。
酒蒸しなどアサリの2倍くらいの大きさなので見栄えがする。
個人的にはバター焼きがおすすめだ。

このコラムに関係する種

コタマガイのサムネイル写真
コタマガイ海水生。潮間帯下部〜水深50m。北海道南部〜九州。朝鮮半島。・・・・
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