福島県浪江町、請戸の「ふっこ」を塩煮に
うま味の塊のようで柔らかく、そしてしっとり

石川県・福井県に「塩いり」・「浜いり」、沖縄県に「まーす煮」というのがある。
やや強めの塩水で短時間水分を飛ばしながら煮るというもの。
郷土料理ではあるが古代には日本列島全域で作られていたものだろう。
また我がサイトでデータとして聞取し、画像を持っているのがこの3県だけだという話で、全国を見渡すといずれかの地域に同様の料理が残っているはずである。
スズキの頭部やあらを塩煮にしようとして、豆腐がないことに気がついた。
塩煮の豆腐は魚以上にうまい。
非常に残念だが、なければそれでいいのが家庭料理のよさなのである。
ていねいに鱗をとり、水分をきったあらを用意する。
大きめの鉄鍋に水と多めの塩を煮立たせたなかに放り込む。
あとは一気呵成、終始強火で煮るだけである。
物理的には塩分濃度の高い煮汁の中にうま味が出てしまいそうだが、出ない。
水分量が少ないためだと思う。
それでも煮汁は非常に味が濃い。
塩が濃いというよりもうま味豊かだと言えばわかってもらえるだろう。
請戸のスズキが非常にていねいに処理され、乗っているためだろうか、煮上がりが美しいし、非常に柔らかい。
全部が全部おいしさの塊のようである。
最近、長野県長野市「若緑」本醸造をロックで飲む、そんなひ弱なボクだけど、いい酒の時間が過ごせた。
福島県浪江町、請戸のスズキは総て食べて食べ尽くす

7月25日、八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産に福島県浪江町請戸から「ふっこ(スズキの若い個体)」が来ていた。
いわき市の『海宝水産』からで、体高があり、背が左右に膨らんでいる。
触らなくても上物だ、と思えたので、いきなり確保する。
体長34cm・0.6㎏なのでまさに「ふっこサイズ」だ。
これでいろんな料理を作る。
スズキは北海道から九州までの汽水域、内湾に生息してる。
銀色のスマートな魚で、出世魚でもある。
昔は高級魚の代名詞だったが、内湾の汚染で敬遠されていた時代がある。
ここ20年ほどはじょじょに昔の人気を取り戻しつつある。
典型的な夏の魚である。
■舵丸水産は、一般客に優しいので、ぜひ近くにお住まいの方は一度お寄り頂きたい。