202504/01掲載
3月末日、千葉県鴨川産カイワリの刺身
カイワリの刺身には絶対にはずれがない

千葉県鴨川市を説明するのは意外に難しい。
例えば関東以外の、東海地方以西の人に「鴨川市」と言っても誰もわからないと思う。「京都の話」などとなりかねない。
素晴らしい海があり、観光施設もあるので、関東での知名度はそれほど低くないが、魚と結びつくのは水産関係者くらいかも知れない。
ただ、関東に住んでいるなら、鴨川市は新鮮な魚の供給地であり、そこでとれる魚は関東にとっての地物だ、という認識があってもいいと思っている。
月曜日の魚なので、鮮度抜群とは言えないが、真っ先に刺身が頭に浮かぶくらいには、いい。
市場で買って、帰宅後すぐに水洗い。三枚に下ろし、保存して置く。
これを昼に刺身にして、刺身定食にする。
カイワリは市場で買っているので、比較的手頃な値段である。
定食などといいながら、懐に優しい値段のカイワリ刺身と、野菜サラダと赤だしのみそ汁の、ごくつましい昼ご飯である。
3月末のカイワリはそんなに脂が豊かではない。
なので、口溶け感からくる甘味こそ少ないものの、口に入れた瞬間にうま味が口中にぱーっと広がる。
おいしさの口の中での滞在時間の長いことと、うま味の豊かさは、大小で表すしかないが、間違いなく大の味である。
ご飯の友は塩分もそうだが、味わいが豊かで強くないと務まらないが、カイワリ140gほどが2尾で、二杯飯が食べられるくらいうまい。
そんなにいい時季でもないのにこんなにおいしくてもいいの、と問いたくなる。
きっと4月も半ばになると、カイワリ1尾で二杯飯になるだろう。