旬は秋から初夏ではないかと思う。大きいほどおいしい。
鱗は細かく取りやすい。皮は薄いが強い。骨はあまり硬くない。
透明感のある白身で熱をとおしても硬く締まらない。血合いもきれい。
料理の方向性
血合いがきれいで鮮度がよければ透明感もあるので刺身は非常に美味。皮は意外に硬いので皮霜造りではなく焼霜造りに向く。単に塩焼きにしても味がいい。またアジ類特有のうま味があって、いいだしが出るので汁もの、煮つけなどにも向いている。揚げ物派フライ、唐揚げなどが美味。
ナンヨウカイワリの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身、マリネ)、ソテー(ムニエル、フライパン照り煮)、揚げる(フライ)、焼く(塩焼き、西京漬け、粕漬け)、煮る(煮つけ)、汁(みそ汁、潮汁)
ナンヨウカイワリ腹の刺身 背の部分よりも腹の部分に脂が多く混在している。腹の部分は少し硬く、噛み切るときの抵抗感がいい。この脂に強い甘味(溶けるときの)があって、食感のよさとともに印象的である。やはり体高のあるアジ科は非常にうまいと実感できる。
ナンヨウカイワリ背の刺身 背の部分はどちらかというと淡泊で微かに酸味がある。酸味があるだけに味わいが軽く、飽きの来ない味である。見た目にもきれいだし、上品な味わい。腹と背を食べ比べるといいかも。
ナンヨウカイワリのマリネ(しょうゆ和え) ハワイでは「ポケ」になるのだろう。要するになんでもありのマリネである。ここでは細かく切り、トマト、玉ねぎ、にんにく、オリーブオイルなどと合わせて和えただけ。難しいことはなにもない。味見をしながら好みで野菜や調味料を加えると楽しい。
ナンヨウカイワリのカルパッチョ よりイタリア的な味わいにするために、オリーブオイルやにんにくをより強く出してみた。できるだけ薄切りにする。皿ににんにくをなすりつけ、オリーブオイルも敷く。ここでコショウや好みの香辛料を振ってもいい。ここに薄切りを並べてとんとんとスプーンでたたいてならす。上にも香りのある野菜などをのせ、再度オリーブオイルをふる。塩加減やにんにくの多さなどは好みで。
ナンヨウカイワリのムニエル 大型の個体からはきれいなフィレがとれる。これをやや薄めの切り身にして塩コショウをする。小型の個体は半身を使うといい。これに小麦粉をまぶしてじっくりとソテーする。表面は香ばしく、なかはしっとりと仕上がり、とても美味。
ナンヨウカイワリのフライパン照り焼き 大型は切り身に、小型は半身にする。塩コショウして小麦粉をまぶして、多めの油でソテー。火が通ったら一度取り出す。フライパンにみりん・酒・しょうゆ(甘いのが好きならみりんではなく砂糖)を入れて一煮立ちさせて、切り身をもどしてからめて出来上がり。きのこやゴボウなど野菜を合わせてもいい。ご飯にとても合う。
ナンヨウカイワリのフライ アジ科の定番料理がフライである。三枚に下ろして大型は皮付きのまま切り身にする。小型は三枚に下ろして腹骨をすき、血合い骨を抜く。塩コショウして小麦粉をまぶして、溶き卵をくぐらせパン粉をつけて中温で揚げる。マアジで作ったフライよりも白身としてのうまさがより楽しめる。しかもアジ科らしいうま味もある。
ナンヨウカイワリの唐揚げ あらを唐揚げにするとスナック風だけど、片身をまるまる唐揚げにすると御馳走である。三枚に下ろして中骨と片身を適当に切ったものに片栗粉をまぶして少し寝かせる。もう一度片栗粉をまぶして低温でじっくり揚げる。一度取り出して今度は高温で揚げる。中骨はさくっとして香ばしく、身の表面は香ばしいが中は豊潤。
ナンヨウカイワリの塩焼き 大振りのかまを使ってみた。小振りのものは適当に切って、振り塩をする。1時間以上寝かせて、じっくり焼き上げる。皮目に独特の風味があり、身はほどよく繊維質で身離れがいい。身にアジ科特有のうま味・甘味があり、白身の上品さもありとてもおいしい。
ナンヨウカイワリの西京漬け(みそ漬け) 大型の切り身を西京みそ(みそはなんでもいい。塩分濃度に気をつける)と甘酒、みりん、砂糖を合わせた地に1日以上つけ込む(みそによって時間が違う)。これを焦げないように気をつけて焼き上げる。みそに漬け込んでも、身の風味は生きている。とても味わい深く、お弁当などにも向く。
ナンヨウカイワリの煮つけ カマの部分を使ったがどこでもいい。大振りなら二枚に下ろして骨つきの部分を使うといい。これを湯通しし、冷水に落としてぬめりと残った鱗を流す。水分を切り、酒・砂糖・しょうゆの味つけで煮る。酒・しょうゆの味つけでも、酒・みりん・しょうゆでもいい。甘めにするとご飯に合う。
ナンヨウカイワリのみそ汁 沖縄の郷土料理、「魚汁(さかなしる)」は汁と言うよりも、主菜である。大型はあらを小型は適当に切る。湯通ししてぬめり、残った鱗などを流して水から煮出してみそをとく。沖縄では「がーら汁」である。非常にうま味豊かな汁でご飯のおかずになる。
ナンヨウカイワリの潮汁 頭部、中骨などを集めて、湯通しして冷水に落としてぬめり、残った鱗などを流す。これを昆布だし(水でもいい)で煮だして、酒・塩で味つけしたもの。アジ科らしく実にうま味豊かな味わい。あらに着いた身にも甘味があり、頭部の皮がまた美味。