イガイ
珍魚度・珍しさ | ★★★ がんばって探せば手に入る |
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魚貝の物知り度 | ★★★★ 知っていたら達人級 |
食べ物としての重要度 | ★★ 地域的、嗜好品的なもの |
味の評価度 | ★★★★ 非常に美味 |
分類 | 軟体動物門二枚貝綱翼形亜綱イガイ目イガイ超科イガイ科イガイ亜科イガイ属
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外国名 | Hard-shelled mussel, Korean mussel
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学名 | Mytilus unguiculatus Valenciennes, 1858
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漢字・学名由来 | 漢字 貽貝、以加貝 Standard Japanese name / Igai Valenciennes アシル・バランシエンヌ(Achille Valencienne 1794-1865)はフランスの動物学者。ジョルジュ・キュビエとともに『魚類の自然誌』を刊行。国内で水揚げされる多くの魚を記載。 目八譜 1843(天保14)、武蔵石寿(武蔵孫左衛門)が編んだ貝の図譜のひとつ。図は服部雪斎が描く。武蔵石寿は貝類を形態的に類別。1064種を掲載する。現在使われている標準和名の多くが本書からのもの。貝類学的に非常に重要。 |
地方名・市場名 |
概要
生息域
海水生。潮下帯から水深20メートルの岩礁域。ムラサキイガイと比べると生息水深が深い。
北海道から九州。
生態
性転換する。
産卵期は7月から9月。
足糸(そくし)を分泌して岩などに付着(ついている)している。
基本情報
日本各地で水揚げされる大型の二枚貝である。食用貝としての歴史も非常に古い。これが近年、ヨーロッパからの移入種であるムールガイ(ムラサキイガイ)に押されて陰が薄い。ムールガイが毎日のように市場をにぎわせているのに比べて、イガイの入荷量はごく少ない。そのため関東、関西の市場ではイガイのことも「ムールガイ」と表記されている。
クセのある味わいではあるが、大振りで海辺では得がたいたんぱく源であったと思われる。夏に漁の最盛期、旬を迎えるもので郷土料理も少なくない。
珍しさ度 まずはイガイとムラサキイガイの区別がつくようにならないといけない。ムラサキイガイと比べると流通量が少ないので、売っているところも探す必要がある。
水産基本情報
市場での評価 関東ではあまり見かけない。入荷してくるとやや高値となる。
漁法 潜水漁、見突漁
主な産地 北海道、三陸、茨城県、千葉県、瀬戸内海周辺など各地
選び方・食べ方・その他
選び方
持ち重りがするもの。殻が硬く閉じているもの。硬く閉じるもの。生きのいいもの。
味わい
旬は冬から夏
貝殻はやや硬めながら、薄く簡単に割れる。
表面の汚れと、岩などに付着するための足糸を抜いてから料理する。
足糸などは残る場合が多いので、いちどゆでこぼしてから改めて抜き取る。
炊き込みご飯にするときは剥いて、足糸などを除去する。
身は火を通し過ぎると著しく縮む。
濃厚な旨みがあり、いいだしが出る。
栄養
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危険性など
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食べ方・料理法・作り方
好んで食べる地域・名物料理
ナスをしょうゆと砂糖で煮つけ、イガイを加える。作ってみると、ナスの甘辛い煮つけに本種のうま味がプラスされてとても味わい深い。[鳥取市、愛媛県今治市大島町]
加工品・名産品
淡菜 生のむき身を塩ゆでにして干したもの。中国などに輸出されていた。
釣り情報
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歴史・ことわざなど
東海婦人 その形、「女陰に似たり」(大和本草)
淡菜 干したものを淡菜という。(出雲風土記)
剥き身の行商 〈(夏)いがいは、むき身を細いかずら(葛)でつないで賀露(現鳥取市)から売りにくる。〉『聞き書 鳥取の食事 「城下町鳥取の食の歳時記」』(農文協)
地方名・市場名
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所三重県尾鷲市、和歌山県長島・加太
場所三重県熊野市・鳥羽市安乗・安楽島
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所三重県鳥羽市石鏡・志摩
参考大西幸子さん 場所京都府伊根町、兵庫県香住
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所佐賀県鎮西町・唐津市湊・同唐津市神集島
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所千葉県、新潟県、長崎県、香川県など日本各地
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所千葉県富津市富津
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所千葉県小湊
参考富山伝統的食文化研究会 場所富山県朝日町宮崎
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所山口県豊浦町
備考周利貝を当てているのを大船渡市で見ている。 参考20190325/水戸市、聞取 場所岩手県久慈市・大船渡市、茨城県北茨城市
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所岩手県旧伊達藩領
場所広島県大柿町、山口県柳井市
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所新潟県佐渡相川
参考松澤周一さん(新潟県糸魚川市) 場所新潟県糸魚川市親不知
備考流通上。 場所東京など日本各地
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所神奈川県さぬき市津田鶴羽岡の滝
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所神奈川県三浦半島
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所福井県
参考松宝丸 場所秋田県男鹿
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所秋田県男鹿半島
参考重修本草綱目啓蒙 場所豫州(現中国)
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所静岡県下田市白浜
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所静岡県御前崎
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所鹿児島県薩摩郡上甑村中甑
参考大西幸子さん、早瀬千春さん 場所山形県酒田市、鶴岡市、石川県輪島、京都府伊根町
場所島根県浜田
備考「シュウリガイ」という地方も多く千葉県銚子でのシイレ、シイリもこの変化かも知れない。 場所千葉県銚子市
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参考文献より。