ムラサキイガイ
代表的な呼び名ムールガイ
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珍魚度・珍しさ | ★★ 少し努力すれば手に入る |
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魚貝の物知り度 | ★★★ 知っていたら通人級 |
食べ物としての重要度 | ★★★ 一般的(流通量は普通) |
味の評価度 | ★★★★ 非常に美味 |
概要
生息域
国内では北海道南部から九州の潮間帯から水深10メートルに付着。イガイよりも浅いところに多い。
原産地は地中海東部チレニア海、黒海など。
全世界の温帯域。
生態
産卵期は冬から春。
■ 孵化後幼生期(プランクトン)を経て、足糸で岩などに付着する。
基本情報
大正時代に国内に入ってきた移入種。はじめは「Mytilus edulis(ヨーロッパイガイ)」と混同されていたが、後にフランス西岸から地中海・黒海に生息していた本種(チレニアイガイ)であると判明する。
短期間で日本中に生息域を広げたのはイガイが潮下帯を好み、本種が潮間帯の上部でも生きられたからだろう。
ヨーロッパなどでは食用貝として重要なもので、実際に非常に美味。本来、国内にもイガイがあり、また北方系のキタノムラサキイガイなどもいる。これらも食用となっていたが、ムラサキイガイに圧倒されている。
国内で食用としているイガイ類でももっとも流通量が多く、国内産のイガイなどはむしろ珍しくなっている。そのためにフランス語のmoules(ムール)が一般化して、国内産のイガイにまで適応されるように。最近ではスーパーなどにも並んでいて、手頃に買い求めることが出来る。
フレンチやイタリアンにこだわらないで気軽にみそ汁煮でも、バター焼きなどにも利用して欲しいものだ。
珍しさ度 二枚貝の中ではもっとも普通と言えそう。ただしスーパーなどに常にあるものではない。
水産基本情報
市場での評価 流通漁は多く、アサリなどとともにほとんど毎日のように入荷を見る。ただし安い。和よりもフレンチの食材。
漁法 養殖
産地 宮城県、愛知県
選び方・食べ方・その他
選び方
原則的に生きているもの。触って反応する(貝殻を閉じようとする)もの。身がふっくらしているもの。
味わい
旬は冬から春だと思う。
貝殻は薄く、岩などに付着するための足糸があり、貝殻表面にもいろんな付着物がある。
足糸は引き抜いき、表面の汚れを洗ってから利用する。
貝らしい旨みがあり、ほどよく柔らかい。熱を通すと身が縮む。
非常に濃厚な旨みがあり、いいだしが出る。
栄養
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危険性など
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食べ方・料理法・作り方
1 足糸が出ている個体はできるだけ引っ張って取る。流水で洗い水分を切っておく。
2 フライパンに多めのオリーブオイルとにんにくを入れて火をつけ香りづけする。
3 貝とバター、ワインを加えて火を通る。仕上げに香りのあるペーパータオル芹やディルなどを振る。
貝もおいしいが火を通すときに出た貝のエキス、バターやオリーブオイルが乳化した汁が非常にうまい。これでパンなどを食べる。
好んで食べる地域・名物料理
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加工品・名産品
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釣り情報
当然釣りの対象ではないが、クロダイ、イシダイなどの釣り餌として重要。
歴史・ことわざなど
■ フレンチ、イタリアンの基本的な料理材料。
■ 原産地は地中海周辺、ヨーロッパ。
■ 船の船底に付着して移入してきた。
■ 1920年くらいから神戸港で見られていたという。その後急速に広がっていく。
■ 工業用の冷却水路、カキ養殖などでは邪魔者扱いされる。