ニシン
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ニシン印籠焼き
珍魚度・珍しさ | ★★ 少し努力すれば手に入る |
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魚貝の物知り度 | ★ 知らなきゃ恥 |
食べ物としての重要度 | ★★★★★ 非常に重要 |
味の評価度 | ★★★★ 非常に美味 |
分類 | 顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区新骨亜区正新骨下区側ニシン上目ニシン目ニシン科ニシン亜科ニシン属
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外国名 | Pacific herring
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学名 | Clupea pallasii Valenciennes, 1847
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漢字・学名由来 | 漢字 鯡、鰊、青魚、春告魚、二親魚 Nisin Valenciennes アシル・バランシエンヌ(Achille Valencienne 1794-1865)はフランスの動物学者。ジョルジュ・キュビエとともに『魚類の自然誌』を刊行。国内で水揚げされる多くの魚を記載。 Pallas Peter Simon Pallas (ペーター・ジーモン・パラス)。ドイツの動物学者。主に冷水域の魚を記載した。ホッケ類、アイナメ類など国内海域にいる多くの魚類を記載。 |
地方名・市場名 |
概要
生息域
海水魚。産卵期に群れで沿岸域に回遊。沿岸の浅い海域の海藻が繁茂した場所に産卵。
北海道西岸・風蓮湖・能取湖周辺、青森県尾渕沼周辺、宮城県万石浦、茨城県涸沼周辺、
北海道〜島根県大田市の日本海沿岸、相模湾。
朝鮮半島東岸、済州島、渤海、黄海、オホーツク海、ベーリング海、北海道〜バレンツ海南西部・白海、アラスカ湾〜カリフォルニア半島。
生態
■ 北海道サハリン(樺太)系ニシン/外洋性で大規模な回遊をし、北海道西岸からサハリン南西岸にかけて産卵する。北海道ニシンの主要だったもので1950年に激減、現在に至る。
小規模沿岸回遊群
■ 茅部ニシン/沿岸性で小規模な噴火湾産卵群。
■ 石狩湾ニシン/石狩湾沿岸で産卵回遊する。
■ 田代島ニシン/厚岸湾、厚岸湖で産卵する。
■ 湖沼ニシン/北海道、サハリンの汽水湖、青森県の尾駮沼(おぶちぬま)、茨城県涸沼。
■ 北海道では漁獲される時期、体色、大きさで「春ニシン」、「夏ニシン」、「冬ニシン」に区別される。
「春ニシン」は「走りニシン、群来(クキ)ニシン、産卵ニシン、鼻白ニシン(ハナジロニシン)、鼻黒ニシン(ハナグロニシン)などと呼ばれる。3月から6月に北海道サハリンなどに産卵回遊してくる。
産卵は浅場で行われる。大きな群れで浅瀬に押し寄せて産卵するとき、海水が精子で白濁する。これを「群来(くき)」という。
産卵は厚岸湾など早いときには11月、12月から始まり、北海道西岸では3月下旬から6月下旬。
卵は沈性、粘着性でかたまり状になって海藻などに付着する。これが子持ち昆布となる。
孵化後半年で10センチ前後、1.2歳で15センチから22センチ、3歳で25センチ前後、5歳で30センチ、7歳で32センチ。
基本情報
国内で「ニシン」として流通しているのは北大西洋のタイセイヨウニシンと北太平洋の本種ニシンである。
本種は北太平洋に広く生息している。古くは国内海域でも代表的な多獲性魚であった。食用としてではなく、肥料や飼料としても国内の産業を支えていた時代があった。
食文化的にも古く山陰や北陸、出羽の国、平安時代には渡島国(現在の松前、函館周辺)からも都に送られていた。
「春告魚」と呼ばれていたこともあるが、最近、春ニシンが取り分け多いわけではなく、年間を通じて入荷がある。最大の産地は北海道。次いで東北で、山陰あたりまで水揚げがある。
現在に至るまで総菜、おせちなどで国内の一般家庭の生活にも欠かせない魚だ。
たくさんとれ、安くておいしい魚だったので人気が高かったが、北海道のニシンが1950年代に激減。一時は幻の魚とさえ言われたことがある。特に数の子は希少なものとなり、「黄色いダイヤ(黄色いダイア)」と呼ばれていたことも。
鮮魚で流通するには十分な量が国内でとれているが、この減少した資源は未だ完全には回復しないまま現在(2023年)にいたっている。
問題はぬか漬け、干もの、身欠ニシン、数の子などの加工品原料だ。このほとんどがアメリカ、カナダ、ロシア、ノルウェーなどからの輸入もの。数の子などはほとんど総てを輸入に頼っている。
珍魚度 非常に一般的な食用魚である。ただし最近、魚の極端に選択的な食べ方からは外れてしまっており、手に入れるのは簡単とは言えない。また漁獲は季節に左右される。
水産基本情報
市場での評価 鮮魚は北海道産が多く、やや高値。冷凍品、加工品は大西洋にいるタイセイヨウニシンなどの輸入ものが圧倒的に多い。アメリカ、カナダ、ロシア、中国などが輸入国。
■ 数の子、子持ち昆布のほとんど総てが輸入もの。
漁法 刺し網、定置網
産地 北海道、青森県、宮城県など
選び方・食べ方・その他
選び方
目が赤くなっていないもの。腹など触って硬いもの。
味わい
旬は産卵群で違うが寒い時季から春が安定している。
鱗は薄く取りやすい。皮は非常に薄く、弱い。骨は柔らかく、小骨がある。
白身だが血合いが大きく目立つ。脂は混在し、皮下に層を作る。
卵巣は独特の風味があり、非常に味がいいので「子持ちニシン」をよしとする傾向がある。
栄養
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危険性など
生食はアニサキスの危険がある。食べる場合は自己責任で。
食べ方・料理法・作り方
好んで食べる地域・名物料理
加工品・名産品
子持ちわかめ ニシンがわかめに卵を産みつけたもの。今のところ市場では見ていない。
干し数の子 現在ではほとんど作られていない。江戸時代から食べられていたものは本来乾物の数の子。
◆数の子の食べ方
1 塩抜き(水につけて塩抜き。水は何回か替える)。
2 だしと酒、味醂、醤油などをあわせた漬け汁に入れて味つけする。
米のとぎ汁などにつけて半日から一日、もしくは数日かけてもどす。とぎ汁もしくは水はなんどか替える。これを甘味のある醤油味で煮る。
釣り情報
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歴史・ことわざなど
春告魚(はるつげうお) 北海道では春に産卵のために南下して記し近くによる。これを待ち焦がれたこともあり「春告魚」と呼ぶ。
かど焼き祭り 雪解け後の4月〜5月に人を集めて「やいたかど(ニシンを焼いたもの)」を食べて春到来を祝う行事。[山形県内陸部新庄市など]
群来(くき) ニシンが群れを作って来遊、産卵するのを「群来」という。
やん衆 群来のくる春に鰊場に雇われる季節労働者。
ミガキニシン(身欠にしん)豊漁期の形 内臓、白子、卵巣などを手で抜き、2、3日干し、尾に裂き包丁を差し入れ、腹側と背側を脊椎骨にそって切り裂いて干した。乾燥したら腹側を肥料に、背の部分を身欠きニシンとして食用にした。1尾から1本をとるものだった。
搾め滓(しめかす) 近世までニシンを茹でて油をそぼった締めかすは農産物の重要な肥料。
灯油(ともしびあぶら) 油は明かりを得るための灯火、また身欠きにしん、卵であるカズノコなど、米食の進んだ時代に北国の生きる糧であった。
ヘリンボーン(Herring bone) 国内では「杉綾織」といわれる。「ニシン(herring)」の「骨(bone)」のような綾織のこと。
煮つけ魚 〈比目魚、鰈、鮎並、鰺、鱈、鯡、鮫、生節等は皆煮つけで、焼くのは蒸し鰈、魴鮄、鰯、飛び魚くらいであたが、煮肴は私は嫌いであった〉『幼少時代』(谷崎潤一郎 岩波文庫 初版は文藝春秋社1957)
カズノコは安かった 〈カズノコなんてのは、お金のねえのが食うあれだもの〉明治42(1909)年生まれ亀戸 [『古老が語る江東区の町並みと人々の暮らし〈下〉』(江東区ふるさと文庫5 江東区)]
地方名・市場名
参考文献 場所一般に。北海道厚岸、秋田県象潟、新潟県寺泊、富山県全域、神奈川県江ノ島
参考文献 場所北海道厚岸
参考文献 場所富山
参考文献 場所長崎県壱岐
サイズ / 時期幼魚 参考文献 場所陸前
チャット
サイズ / 時期若魚 参考文献 場所陸前
参考『青森県 さかな博物誌』(日下部元慰智 東奥日報) 場所青森県
場所青森県、秋田県、山形県南陽市・新庄市、福島県会津若松
場所青森県、秋田県
場所北海道
アトニシン コニシン イサザニシン エビスニシン コニシン サラバニシン テツクイニシン ナカニシン ナツニシン ノチニシン バカイワシ ハシリニシン ハナグロニシン フユニシン マミニシン
参考文献 場所北海道
部位卵巣 備考卵巣を「数の子」としたのは、秋田でニシンを「カド」といい、その「子」で「かどの子」が訛って「かずのこ」になった。これに「数の子」と漢字を当てた。
エロキ ヘロキ
備考アイヌ語。