クロコショウダイ


体長50cm、5kg前後になる。全体に黒く体高が非常にある。上あごが突出していて非常に厚みがあり軟らかい。11月26日の個体は抱卵していた。

魚貝の物知り度 ★★★★★
知っていたら学者級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★★
究極の美味
分類
顎口上綱硬骨魚類条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目イサキ科コショウダイ属
外国名
Harry hotlips
学名
Plectorhinchus gibbosus (Lacepède,1802)
漢字・学名由来

漢字 黒胡椒鯛、黒小姓鯛 Standard Japanese name / Kurokoshoudai
由来・語源 コショウダイ属で黒いため。
Plectorhinchus nigrus (Cuvier, 1830)/シノニムで和名なし。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)
『魚類の形態と検索』(松原喜代松 岩崎書店 1955)にあるが学名はPlectorhinchus nigrus/シノニム。

Lacepède
Bernard Germain Lacepède(ベルナール・ジェルマン・ド・ラセペード 1756-1825 博物学者、音楽家。フランス)はビュフォン(Georges-Louis Leclerc de Buffon 博物学者。リンネとは違った配列を試みた)の後継者。
地方名・市場名

概要

生息域

海水魚。浅い岩礁域、サンゴ礁、砂礫地。
[三重県熊野市]、和歌山県串本、高知県須崎湾、九州南岸、屋久島、琉球列島。
幼魚は千葉県夷隅川付近。
台湾、香港、南沙諸島、海南島、タイランド湾、インド-西太平洋。

生態

基本情報

主に熱帯域に生息していて、国内では沖縄県、鹿児島県諸島部で食用になっているもの。
ただし漁獲量が少なく珍しい上、黒くて目立たないので認知度は低い。
大形になり味がいいので、比較的安くてうまい魚のひとつ。

水産基本情報

市場での評価 入荷は少ない。やや高値。
漁法 釣り、定置網
産地 沖縄県、鹿児島県

選び方・食べ方・その他

選び方

触って張りのあるもの。黒いもの(退色していないもの)。目が澄んでいるもの。

味わい

旬は秋から春(11月下旬に抱卵していた)。
成魚の鱗は非常に硬い。鱗引きが大変である。すき引きもできない。皮は厚く強くネバリがある。皮に熱を通すとゼラチン質になる。
骨はとても硬い。
透明感のある白身で血合いは赤い。熱を通してもあまり縮むこともなく、しっとしりて身離れがいい。生食は寝かせて味が濃くなり、ほどよい硬さになる。
あらなどら実にいいだしが出る。
卵巣は卵粒が細かくて味がいい。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

クロコショウダイの料理法・調理法・食べ方/刺身(刺身、セビチェ、カルパッチョ)、焼く(塩焼き)、煮つけ(あら煮)、ソテー(ムニエル、バター焼き)、揚げる(唐揚げ)
クロコショウダイの生食 水洗いして、三枚に下ろして皮を引く、それを刺身状に切る。食感がよく、うま味が豊かで美味しい。旬なら脂の甘味が楽しめる。柑橘類と合わせてセビチェ、カルパッチョなどにしてもいい。

クロコショウダイの塩焼き イサキ科の魚なので塩焼きにしてもとてもおいしい。大型なのでここでは切り身にして、振り塩。少し寝かせて焼き上げてみた。皮目の香りが実に好ましく、身がほどよく繊維質で口の中でほどける感じがいい。
クロコショウダイの煮つけ 白身のうま味が堪能できる。身がしっとりとほどよく繊維質で美味しい。煮汁にもうま味が出る。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

歴史・ことわざなど

地方名・市場名

アナグル
参考『魚名からみる自然認識:沖縄・伊良部島の素潜り漁師の事例から』(高橋そよ 2014年03) 場所沖縄県伊良部島 
ウヮーシバー
備考少ないとある。 参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012) 場所沖縄県南城市知念漁協 
コーコダー
参考『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 場所鹿児島県種子島 
カワコデ[川こで] ココデ
備考カワコデ(川こで)、ココデ(ともにコロダイと同じ)。 場所鹿児島市 
シバチャシチュー
場所沖縄本島 
ハイバカマ
場所沖縄県宮古 
ツバキ
場所沖縄県八重山