コショウダイ
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珍魚度・珍しさ | ★★ 少し努力すれば手に入る |
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魚貝の物知り度 | ★★★ 知っていたら通人級 |
食べ物としての重要度 | ★★★ 一般的(流通量は普通) |
味の評価度 | ★★★ 美味 |
分類 | 顎口上綱硬骨魚類条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目イサキ科コショウダイ属
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外国名 | Crescent sweetlips, 台湾/花軟唇
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学名 | Plectorhinchus cinctus (Temminck & Schlegel, 1843)
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漢字・学名由来 | 漢字 胡椒鯛、小正だい、鰭白魚、古世宇(京俗) Standard Japanese name / Koshoudai 由来・語源 江戸(東京)に江戸時代からある呼び名を標準和名にしたもの。2000年前後までの水揚げから考えても江戸時代に江戸湾(東京湾)に大型はほとんど生息していなかったと考えられる。むしろ斑点や斜めに背から腹に横切る帯が目立つ若魚、幼魚が多かっただろう。この若い個体に対してつけた呼び名だと思う。 黒く丸い斑紋からの「胡椒鯛」ではなく、小さい割りに目立つ柄をした「小姓鯛」だった可能性も捨てられない。 1938年の魚類検索では、旧仮名遣いではコセウダヒ属コセウダヒだった。 こしょうだひ 〈こしょうだひ 武蔵品川〉『帝国博物館天産部魚類標本目録.帝国博物館』(石川千代松・松浦歓一郎 1897/明治30年) 胡椒ダイ 栗本丹州『魚譜』。 小正だい 『魚鑑』(武井周作天保辛卯 1831)に「小正だい」。 胡椒鯛 田中茂穂、宇井縫蔵は〈神奈川県三崎、和歌山県和歌浦・湯浅・白崎でコショオダイ〉とある。地域を違えて言語があるということは、「こしょう(こしょお)」という言葉に国内共通の語彙があるはず。「胡椒」なのか「小姓」なのかは不明だが、田中茂穂は「胡椒」をあてている。 鰭白魚 〈身が扁く短首。繊せびれで鱗には白黒の文様がある〉。『和漢三才図会』 Temminck コンラート・ヤコブ・テミンク Coenraad Jacob Temminck(1778-1858 オランダ) シュレーゲルとともにシーボルトの持ち帰った脊椎動物を整理、記載。『Fauna Japonica』(日本動物誌)を執筆。 Schlegel ヘルマン・シュレーゲル(Hermann Schlegel 1804-1884年)はドイツの動物学者。テミングとともにシーボルトの持ち帰った脊椎動物を整理、記載。『Fauna Japonica』(日本動物誌)を執筆。 栗本丹州 栗本丹洲(くりもと たんしゅう栗本 丹洲(くりもと たんしゅう 宝暦6年/1756年〜天保5年/1834年)。江戸神田紺屋町生まれ。奥医師、本草学者。『魚譜』、『千虫譜』、『異魚図賛』など多くの図譜を残す。 |
地方名・市場名 |
概要
生息域
海水魚。磯や沿岸近くに棲息している。
千葉県外房、東京湾、相模湾〜九州南岸の太平洋沿岸。
[青森県日本海側・津軽海峡]、新潟県、[富山県黒部港]〜九州南岸の日本海・東シナ海、瀬戸内海、屋久島。
福島県〜青森県でも少ないながら見られる。
朝鮮半島西岸・南岸、台湾、福建省・広東省、海南島、東沙諸島、タイランド湾、マナール湾、オマーン湾。
生態
産卵期は5月から6月。
基本情報
古くは本州中部以南に生息とあった。伊豆半島以西に多く、相模湾以東には少なかったが、近年では本州以南に生息する可能性が高い。また日本海でも増えている模様だ。相模湾には2010年以前は小型ばかりだったが、近年明らかに大型が増えている。
関東の市場ではあまり人気がないが、大型になり、歩留まりがいい上に上質の白身なのでもっと活用されてもいいと思う。
問題は寄生虫がついていることが多いことから毀誉褒貶半ばする魚である。 これさえなければ評価は4星。
珍魚度 珍魚度はゼロに近い。山陰・東京湾以南ではスーパーで売っていることがある。2000年以前はそれほどとれなかった魚だが、温暖化で水揚げ地が北上し、漁獲量が増えた。
水産基本情報
市場での評価 西日本などから入荷してくるもので、量は少なめ。上質な白身であるわりにあまり高値で取引されていないのは、旬でもあまり脂がのらないためと、寄生虫を持っている個体が多いためだと思われる。
漁法 釣り、定置網
主な産地 日本各地
選び方・食べ方・その他
選び方
鮮度が落ちるのが遅い。太っていて、触って張りのあるもの。斑文がくっきりしているもの。鰓が鮮紅色のもの。小さくてもおいしい魚で、むしろ大きくなりすぎるとおいしくない。
味わい
鱗は細かく硬い。皮は厚くて強い。骨はあまり硬くない。
上質の白身で血合いがきれい。皮目などに微かに磯臭さが感じられる。熱を通すとやや硬く締まる。
大型の個体の方が多く寄生されている。この寄生虫が本種の評価を落としている。
栄養
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危険性など
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食べ方・料理法・作り方
好んで食べる地域・名物料理
コタイ 大分県中津市では市内スーパーでも普通に切り身などで見られ、魚市場関係者も市内ではコショウダイを非常に好むという認識を持っている。料理法などは不明。
コタイの煮つけ 『聞書き 福岡の食事』に麦の穂が色づく頃にとれる、「まだいとくろだいの中間の鯛」はコショウダイである可能性が高い。豊前浜ではなぜかコショウダイを好む。
加工品・名産品
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釣り情報
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歴史・ことわざなど
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地方名・市場名
参考河部友彦さん(海辺のかわべ屋/三重県度会郡南伊勢町) 場所三重県南伊勢町
参考聞取、三重県『東紀州のお魚リスト』 場所三重県東紀州・尾鷲市
参考文献 場所三重県鳥羽市
参考文献 場所兵庫県明石
参考土井祐介さん 場所兵庫県明石市
参考文献 場所千葉県小湊
参考文献 場所和歌山県塩屋
参考文献 場所大分県佐伯
参考文献 場所大坂
参考文献 場所大阪府堺
参考文献 場所宮崎県
参考文献 場所富山県四方
参考文献 場所富山県富山・射水市海老江
サイズ / 時期小さい個体 参考文献 場所富山県射水市海老江
参考文献 場所富山県高岡
参考鮮魚丸和 場所富山県魚津
参考文献 場所富山県魚津・四方・新湊
参考文献 場所広島県
参考文献 場所愛知県三谷
参考文献 場所新潟県寺泊
参考文献 場所有明海周辺
参考文献 場所東京、神奈川県三崎・江ノ島、和歌山県湯浅・白崎・和歌浦
参考文献 場所東京都品川
参考文献 場所熊本、有明海
場所熊本県上天草市大矢野町(a)
参考木戸克己さん 場所熊本県天草
参考有江商店(熊本県天草市) 場所熊本県天草市・本渡魚市場
参考文献 場所石川県木場潟・今江潟
参考文献 場所石川県金沢
参考聞取 場所神奈川縣小田原市
参考文献 場所福岡県志賀島
参考文献 場所福岡県津屋崎
参考文献 場所秋田県男鹿・象潟
参考藤田晴大さん 場所長崎県大村湾
参考佐藤厚さん 場所長崎県雲仙市小浜町
参考佐藤厚さん 場所長崎県雲仙市小浜町、熊本県上天草市大矢野町
参考文献 場所静岡県伊豆・浜名湖
参考文献 場所高知県手結
参考文献 場所鹿児島
参考伊東正英さん 場所鹿児島県南さつま市笠沙
備考コロダイと呼び名などで混同があり、コロタイ、コロダイと呼ぶ地域がある。またコロダイをコショウダイという地域もある。 参考長浜鮮魚市場20181122 場所福岡県福岡市
場所神奈川県真鶴で
場所三重県尾鷲市(a)
場所兵庫県明石市、徳島県徳島市漁業協同組合・海部郡海陽町宍喰漁業協同組合、福岡県福岡市
参考長浜市鮮魚市場20181122 場所福岡県福岡市、長崎県佐世保
場所広島県倉橋島
場所高知県宿毛市田ノ浦すくも湾漁協、大分県中津市
場所愛媛県愛南町城辺
場所熊本県上天草市大矢野町
参考文献 場所神奈川県三崎