クロアワビ
魚貝の物知り度 | ★★★ 知っていたら通人級 |
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食べ物としての重要度 | ★★★ 一般的(流通量は普通) |
味の評価度 | ★★★★ 非常に美味 |
概要
生息域
海水生。日本海全域、茨城県以南から九州沿岸。
潮間帯から水深20メートルの岩礁地帯。
アワビ類は主にもっとも浅い場所にクロアワビ、中間的な深さにメガイアワビが多く、15メートル以上の深さにマダカアワビが多い。
生態
産卵期は秋から冬。
カジメなどの大型の海藻類を食べている。
アワビ類(クロアワビ、メガイアワビ、マダカアワビ、トコブシなど)の雄雌は生殖腺の色(緑-雌、灰色-雄)で区別できる。市場では、アワビ類を足の色や殻の形から雌雄として区別し、「おんがい(雄貝)」、「めんがい (雌貝)」などと呼ぶことがある。しかし、これは雌雄の違いではない。「おんがい」と呼ばれるのはクロアワビで、殻はやや細く、水管の高まりが高く、足は緑灰色である。「めんがい」と呼ばれるのはメガイアワビで、殻は丸みが強く、水管の高まりが低く、足は灰色がかったクリーム色をしている。
基本情報
巻き貝がお椀状に変化したもの。
浅い岩礁域に生息、古代から食用として珍重していた。
小型のトコブシから最高級のクロアワビ、すしネタとして重要なマダカアワビなど国内には多種類のアワビ類が食用となっている。
これが乱獲と浅瀬の環境悪化のために激減、今では世界中から近縁種を輸入して各国で高値を呼んでいる。
このためアワビ類とはなんの関係もないアワビモドキやヒタチオビガイの仲間なども食感が近いと言うだけで輸入、利用されている。
アワビ類の加工品としては中国などへ輸出されている干し鮑、山梨県などで作られている煮貝などがある。
伊勢神宮の神饌に使われるなど、古代から尊ばれている。
贈答品に「熨斗(のし)」を添える習慣があるが、これはクロアワビを薄くヒモ状に切り、干した物を神饌に供えた「のしあわび」から。
また貝殻は螺鈿細工にも使われていた。
現在でももっとも高価なもので、味の良さから非常に人気が高い。
岩礁地帯などで普通に見られるものだが、近年激減。
稚貝放流、養殖などが行われている。
水産基本情報
市場での評価 比較的暖かい地域から少ないながら入荷をみる。値段は非常に高値で安定している。
漁法 潜水漁
産地 千葉県、長崎県、徳島県
選び方・食べ方・その他
選び方
原則的に生きているもの。身がふっくらとしているもの。触ってよく反応するもの。
味わい
旬は夏
ほどよい磯の香りがあり、食感が強い。
旨みが非常に強い。
非常に希だが、アワビのツノワタには光に過敏に反応する毒性分があり、春先に食べると皮膚のただれやかゆみが起こるとされる。
栄養
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危険性など
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食べ方・料理法・作り方
好んで食べる地域・名物料理
千葉県南房総市白浜にある『宇山善吉商店』前にいた高齢の女性から聞いた話から。「昔はアワビを卵とじにして、ご飯にのせて食べた。卵の方が好きだったので、アワビをよけて食べていたらしかられた」(20141413)
加工品・名産品
缶詰 島根県隠岐郡西ノ島町で作られている。基本的に醤油、砂糖で甘辛い煮ものを缶詰化。
煮貝 山梨県甲府市などで作られている。古くは甲斐は山国で海産物を駿河(静岡県)に頼っていた。駿河の海産物を山越えで運ぶとき、塩漬けやしょうゆ漬け、干ものであったが、アワビはしょうゆにつけて馬の背にのせて運ばれる。この運ばれる間にしょうゆの味と馬の体温で味のよい煮貝が出来上がった。市内にある煮貝の老舗「みな与」の歴史には400年前となっているのだが、これでは年代が曖昧である。江戸期初期もしくは織豊時代ということだろうか。アワビはメガイアワビ、クロアワビ、マダカアワビが原材料である。
釣り情報
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歴史・ことわざなど
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