オキナメジナ

オキナメジナの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
体長40cm前後になる。全体に墨を思わせるような黒で側へんする。背鰭から吻にかけての傾斜は目の前で急激に曲がり丸味が強い。本種の歯は何列か乱ぐい状に並び、上唇が膨らむ。鰓蓋骨全面に鱗がある(外見上わかりにくい。ゆでると鱗が出てくる)。生きている時は体の中央部分に黄色い横縞がある。成魚は死ぬとすぐ、若魚も鮮度が落ちると消える。幼魚・若魚は体高があり成魚になるとスマートになる。[35cm SL ・1.364kg]
体長40cm前後になる。全体に墨を思わせるような黒で側へんする。背鰭から吻にかけての傾斜は目の前で急激に曲がり丸味が強い。本種の歯は何列か乱ぐい状に並び、上唇が膨らむ。鰓蓋骨全面に鱗がある(外見上わかりにくい。ゆでると鱗が出てくる)。生きている時は体の中央部分に黄色い横縞がある。成魚は死ぬとすぐ、若魚も鮮度が落ちると消える。幼魚・若魚は体高があり成魚になるとスマートになる。
体高が高い個体。
本種の歯は何列か乱ぐい状に並び、上唇が膨らむ。
魚貝の物知り度 ★★★★
知っていたら達人級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★
美味
分類
顎口上綱硬骨魚類条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目メジナ科メジナ属
外国名
学名
Girella mezina Jordan and Starks, 1907
漢字・学名由来

漢字/翁眼仁奈 Okinamejina
由来・語源/田中茂穂の命名。見た目の雰囲気だと思う。

地方名・市場名
コオイオ コオイヲ
参考文献 場所沖縄 
シチュー
参考『沖縄水産試験場 沖縄で漁獲される主要魚の名称一覧表』 場所沖縄県全域 
アナシチュー クユー
参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012) 場所沖縄県南城市知念漁協 
グレ スバチ スリバチ
参考『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 場所鹿児島県種子島 
シオ シチ
参考文献 場所奄美大島 

概要

生息域

海水魚。沿岸の岩礁域。
千葉県外房〜九州南岸の太平洋沿岸、五島列島、奄美諸島。
希/山口県日本海沿岸、琉球列島、小笠原諸島
台湾

生態

基本情報

国内の暖かい海域に生息していて、生息域が狭い。漁獲量も他のメジナ科と比べると少ない。メジナ、クロメジナなどと比べると目立たず、商品的価値も低い。
他のメジナ科よりも漁法によっては臭味が出やすいようだ。活魚、活け締めなどの成魚は非常に美味なので安く取引されるのは残念な気がする。
またしばしばメジナ、クロメジナと混同されたまま流通している可能性が高い。

水産基本情報

市場での評価/入荷は希。安い。
漁法/定置網
産地/大分県、愛媛県ほか

選び方・食べ方・その他

選び方

出来るだけ大型を選ぶ。触って張りがあり、色合いに青みのあるもの。鰓が赤いもの。

味わい

旬は夏ではないかと思っている。夏になると入荷が増え、脂がのっている個体が多いようだ。
鱗は硬く取りにくい。皮は厚みがあって強い。骨はやや硬い。
血合いの赤い白身で熱を通すと硬く締まる。

味の方向性
生食向きで刺身、カルパッチョ、セビチェなどにして非常に味がいい。熱を通すなら液体を使った料理法がいい。単に煮つけ、塩焼きなどにすると硬く締まり、うまいとは思えない。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

オキナメジナの料理法・レシピ・食べ方/生食(刺身、カルパッチョ、セビチェ)、煮る(酒塩煮、しょうゆ煮)、汁(みそ汁、潮汁)、揚げる(唐揚げ)、焼く(塩焼き)
オキナメジナの刺身 8月初旬の個体は脂がのっていて臭みなどは皆無だった。水洗いして三枚に下ろす。腹骨・血合い骨を取り、皮を引いて刺身状に切る。買い求めて2日目だったのでやや厚めに切る。脂の甘味が感じられる。身にうま味があり、食感が心地よい。

オキナメジナの焼霜造 水洗いして三枚に下ろす。腹骨・血合い骨を取る。水分をよくきり、皮目をバーナーなどであぶり、氷水に落とす。水分をよくきり少し置いて皮目を落ち着かせる。これを刺身状に切る。皮周辺にうまみがある。身にも豊かなうま味があって非常にうまい。
オキナメジナの皮霜造 水洗いして三枚に下ろす。腹骨・血合い骨をとる。まな板などに皮を上にして置き、布巾をかぶせて熱湯をかける。氷水に落として粗熱をとり、水分をよく拭き取る。少し寝かせて皮目を落ち着かせてから刺身状に切る。皮がやや硬いものの、味わい豊かで食べ飽きない。酢みそや醤油・酢・一味唐辛子なども合う。
オキナメジナのカルパッチョ 刺身がいちばんうまいが、大きい個体ならカルパッチョにしてもいい。三枚に下ろして皮を引く。できるだけ薄く切りつけておく。皿ににんにくの香りづけをするか、すってオリーブオイル(好みの油でいい)とともに広げる。振り塩をして切り身を並べていく。並べ終わったらスプーンなどでとんとんと叩いて馴染ませる。上からもオリーブオイルをかけ回し、振り塩をする。上に飾る野菜はなんでもいい。
オキナメジナの酒塩煮 頭部を半割にして湯に通す。冷水に落として残った鱗やぬめりなどを流す。これを酒と塩、水で煮る。皮はゼラチン質になり、身も適度にしまる。煮だした汁も実にすばらしい味。ほぐした身を汁につけながら食べる。汁と煮ものとの中間的なものだ。
オキナメジナのしょうゆ煮 今回は切り身を使ったが頭部でもあらでもなんでもいい。湯通しして、冷水に落として残った鱗やぬめりを洗い流す。これを酒、砂糖、しょうゆの味つけで煮る。煮ると硬く締まってしまい、口のなかでのほぐれ感が楽しめない。イマイチの味である。少量の煮汁で煮る場合には工夫がいるかも。
オキナメジナの韓国風スープ あらなどを集めて置く。食べやすい大きさに揃えて、湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。水分をよくきり、煮干しだし(韓国のダシダでも)で煮て、塩で味つけする。酒を加えてもいい。食べるときの唐辛子はお好みで。非常に味わい深く、ご飯に合う。
オキナメジナの潮汁 あらや頭部を使うとよい。適宜に切り、湯通しして冷水に落として鱗やぬめり、血液などを流す。水をよくきり、昆布だし(水でも)で煮だして酒と塩で味つけする。うま味豊かな汁が出来上がる。付着した身もとても味がいい。酒を飲んだ後などに最適である。
オキナメジナのみそ汁 あらを集めて適宜に切る。湯通しして冷水に落として残った鱗、ぬめりなどを流す。水分をよく切り、水から煮出してみそを溶く。うま味豊かでご飯にとても好相性である。主菜にもなる。
オキナメジナの西京焼き 水洗いして三枚に下ろす。切り身にして振り塩をする。1時間ほど寝かせて表面に出て来た水分を拭き取る(この工程は省いてもかまわない)。これをみそ、みりんを合わせた中につけ込む。今回は山椒の実の半殺しを入れて風味づけした。1日程度漬け込んでじっくり焦げないように焼き上げる。
オキナメジナの祐庵焼き 水洗いして三枚に下ろす。水分をよくきり、酒・みりん・醤油同割りの地につけ込む。半日程度漬け込んでじっくりこがさいないように焼き上げる。みりんを塗りながら焼くとキレイに仕上がる。ほんのり甘く、お弁当の菜などに向いている。
オキナメジナの塩焼き 頭部などを焼くと身が強く縮んで見た目にもよくない。三枚に下ろした身を適宜に切り、振り塩をして少し寝かせる。これを焼き上げた。焼くと身が強く縮み、うま味も少ない。鮮度がいいほど強く縮むので、少し置いたものを使うといいかも。
オキナメジナの唐揚げ 頭部や腹骨などを集めて適宜に切る。これにカタクリ粉をまぶして少し置く。表面が落ち着いたらじっくりと二度揚げする。皮目は香ばしく、中は鶏肉のように締まる。身には甘みがあっていい味わいである。

好んで食べる地域・名物料理

焼き切れ(やきぎれ) 高知県では皮付きのままあぶり、刺身状に切り、しょうゆをかけてにんにく、しその葉など季節の香りのある野菜を乗せるとある。
焼き切り(やきぎり) 三枚に下ろして皮目をあぶり、刺身状に切り、手に塩をまぶして叩く。次ぎに柚子酢をてにつけてたたき、玉ねぎのスライスをのせる。ハス(イシダイ)、コウロ(イシガキダイ)、グレ(メジナ)、ヒラソウダ、カツオなど。[徳島県海部郡海陽町宍喰]

加工品・名産品

釣り情報

歴史・ことわざなど