シオで野締めなのに、うまいじゃない
カンパチは小さくてもうまい、その典型的な例だ
神奈川県小田原市、小田原魚市場、二宮定置で選別のじゃまをしてたら、足元にシオッコ(シオ、ショゴなどなど。漢字は汐っ子とすることが多い)があって、小振りなので、ことわって拾ってきた。
現在、徹底的に魚を計測しているので、そのためだ。
今回くらいの漁があって慌ただしいときに、こんなにミニで数がまとまらないと、入合にしても売れ残ることが多い。
ある意味、典型的な未利用魚でもある。
体長22cm・192gあった。
東京というところはカンパチの若い個体、シオッコが好きだ。
現在の豊洲などでのシオッコはだいたい【25cm以上40cm以下】なので、この個体はシオッコ以下である。
お盆が過ぎると昔、築地場内では、「シオッコ買ってかないか」、「いやいやまだ早いだろう」なんて立ち話が聞こえてきていた。
ボクもそこに入れるようになったとき、市場人だな、ボクも、と思ったものだ。
実際そのころ、関東で揚がるカンパチの群れは、いうなれば同級生、単系統であり、年間を通して揚がるものではなかった。
8月後半になると黒潮にのってやってくるのは決まってシオッコで、とてもいい値がつく、そんな存在であった。
余談になるが今では相模湾でも比較的大きな個体が普通に揚がる。
伊豆諸島に南下するとびっくりするような大型もとれる。
ブリは大きいほど高く味がいいが、カンパチは、あくまでも関東での話だが大型は人気がなく安い。味も値段通りだと思っている。
この相模湾でのカンパチの水揚げからも強く温暖化を感じる。
計測のために持ち帰って、計測していたら思ったよりも身がよさそうだった。
刺身にしてみたらとても味があった。
野締めなので食感は失われていたものの、逆に舌触りがなめらかで、微かに甘味すら感じる。
水揚げした日限定の美味だけど、期待しなかっただけに驚かされた。
念のために塩とごま油も用意していたが、いつものようにわさび・醤油で十二分においしかった。
このサイズはブリだとワカシサイズになる。
同じブリ属なのにワカシには味がない。
これがとても不思議である。