今季初、銭州のウメイロ
意外に市場では目立たないが、食べたらすごい
ウメイロ
八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産、クマゴロウは釣り名人の域に達しつつある。恐るべき釣果をこれでもかと見せびらかせて、ワハッハと笑っているが、笑いたくなるのも当然といった釣果である。というのは何度も書いた。
銭州の主要な釣り物はなにか? 意外にウメイロとアオダイではないかと思っている。シマアジ狙いや大物専門の方もいるが、基本はこの2種でいいと思う。
2種は同じアオダイ属(同属と考えるとわかりやすい)の魚で、見た目も、下ろしても同じようにきれいである。
面白いものであまりにもおいしい魚を食べると、どちらが上かとか下かではなく、種の違いさえもなくなる。ときどきどっちでもよくなるときがある。
2種は釣れてうれしい魚そのものだと思うが、昨年から銭州でまとまって釣れているのがウメイロの方である。
関東の人間にしかわからない話(関西なら紀伊半島になるのかな?)だが、知り合いの釣り人曰く、「外房へイサキを釣りに行くように釣れる」らしい。
今季最初の銭州のウメイロは少し小振り体長29cm・769gを選んだ。
ウメイロのよいところは、小さいものと大きいものとの、脂ののりの差がないことだ。
秀麗そのものの刺身、そしてその味
ウメイロの刺身
今回のものは抱卵個体で、卵巣がかなり膨らんでいた。
三枚に下ろすと、包丁が重くなるくらいに脂があり、刺身に引くのも包丁の脂をぬぐいながら、だった。
ウメイロの難しいところは産卵期があるのに、年間を通して味の安定をみるところだ。ひょっとしたら、いくつかの個体群が、例えば銭州の海域にもいるのではないかと思っている。
それにしても今季最初のウメイロのおいしさはただ事ではない。
毎年同じことに驚いている気がするが、年年歳歳のことでも驚きの量は同じだ。
美味しい刺身はご飯と食べてこそだ。
正岡子規は温かいご飯に刺身が好きだったが、素直に考えると刺身は酒ではなくご飯だと思っている。
このところ昼に刺身を造ることが多いが、ご飯がすすんで困る。
この脂ののり豊かで、その口溶け感に負けないほどうま味も豊かな魚はめったにない。
その意味でも銭州の釣果は待ち遠しい。