大分県佐賀関、関あじの4日間
「関あじ」信仰はいつまでも消えることはない
4月1日に八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産で久しぶりに「関あじ」を買った。1996年に水産物で初めての商品登録したエポックメーキングなものである。
当時から、「関さば」ほどではないが非常に高価だった。
豊後水郷と伊予灘の境のいちばん狭い海域、大分県高島と愛媛県佐多岬の間、高島寄りでとれるマアジだ。
すべて釣り物で、生きたまま帰港し、一定期間生かして、活け締めにして出荷したものである。
古くからマダイなどでは当たり前だった活け越し(一定期間生かして活け締めにする)を、背の青い魚であるマアジやマサバにほどこすというところが画期的であった。
ちなみに高橋治だったか、この海域の魚は他の地域と比べて格段にうまい、と言った人間が少なからずいた。このあたりの通ぶった人間の無知ぶりには呆れる。これだけはありえない。もちろん根つきの魚の味のよさはあるだろうが、同じような魚は日本全国にいる。
例えば、新潟市沖、相模湾・東京湾や明石海峡、鳴門海峡などのマアジが味でひけをとることは決してない。
要は出荷体制が完璧だったために生まれたブランドである。
今でも流通上はダントツの値の高さではあるが、玄人受けはしていないと思っている。なぜか?
大きすぎるのだ。
今回の個体は、体長33cm・482gもある。もっと大きいのもあるようで、その大型の方がもっと高いようだ
そんな「関あじ」を注文してまで買う料理人がいるのはなぜか? を考えてみたい。
買った当日の刺身は平凡な味である
高いのは刺身で食べるという前提条件で高いので、4日間にわたって刺身で食べてみた。
三枚に下ろして腹骨と血合い骨を取り、食べる分だけ、皮を剥いて刺身にしてみた。
当日の刺身は、味がなかった。
比べるのもなんだが、相模湾小田原水揚げの活け締めのマアジを水揚げ当日に食べると、噛もうとしても刺身が跳ね返してくるのである。それをむりやり噛んだらじわりと味が浮かんでくる。
いかに「関あじ」といえども水揚げ当日の神奈川県小田原のマアジに勝てない。
2日目でも血合いがきれいで透明感もあって、食べると非常にうまいけど、値段ほどではないと思ってしまった。