202310/02掲載

10月のサンマはいいサンマだけど……


八王子総合卸売協同組合、マル幸にあったのは北海道産13入りのサンマだった。少し前までは樽入りや4kg入り、5kg入りなどもあったが、今は2kg入りなので、13入りで1尾155g前後である。
それでも去年よりも遙かにいい。昨年は同時期に110gとか120gが出回っていたことを考えると、明るい兆しかも知れない。
ただ、この13入りは高い。12入りなど、とても手が出ない値となっている。ちなみにこの12入りサイズは昔、秋も深まったとき、樽入で大量入荷していた、そんなサイズである。それを考えると隔世の感がある。やはりサンマの不漁は続くのだろうな。


さて、今回の157gを何して食べようか?
いろいろ考えた末に塩焼きにする。触っただけで脂が感じられるので、刺身にして食べる気になれない。しかも鮮度抜群なので鱗は気になるもののワタもうまそうである。
まずは振り塩をして寝かせる。
お昼の時点でくるっと巻いて焼き始める。
このくるっと巻き巻きというのは麹町にあった素朴な居酒屋の創作かと思ったら、アウトドアでの食事のとき三重県他で広く行われているやりかただった。
また江戸時代の江戸の町のサンマは比較的遠距離なら千葉県銚子から、近場なら江戸前東京湾上総あたり、伊豆半島でとれたものなので、脂は抜けている。脂ののったサンマが日常的に食べられるようになったのは、へたをすると大正時代、昭和になってからのものだと思っている。落語、目黒のさんまで煙が上がるシーンがよく描かれているが、あれは焦げているのであって、脂の煙ではない。
焼き台があるわけではないので、まあ、できるだけつきっきりでていねいに焼き上げるだけだ。
それでも焼き上がるほどに身が膨らんでくるのが、わかる。
今季すだちが端境期なので青柚子をそえ、平凡ながら大根おろしをする。
お昼ご飯のおかずに焼いたサンマはふんわりと柔らかく、サンマらしい個性的な味も十二分に楽しめる。久しぶりなので懐かしい気もする。
問題なのは、ラジオのニュースでやっていた牛丼の新価格よりも高いことだけだ。

このコラムに関係する種

サンマのサムネイル写真
サンマPacific saury海水魚。外洋表層性。オホーツク海、北海道〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、北海道〜九州南岸の大平洋沿岸、瀬戸内海、屋久・・・・
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