下北半島のサザナミダイはすごいかも
5日目、6日目の刺身がおいしい下北半島のサザナミダイ
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写真は水揚げ後、5日目の刺身だ。
6日目も同じく非常に美味であった。
福島県郡山市から12日に来て、撮影し、12日の深夜、翌日、と刺身を造っているが、味も食感もそれほど落ちない、というかうま味は増すばかりだった。
サザナミダイなどメイチダイ属の魚には不慣れなはずの下北半島揚がったものなのに、サザナミダイと気がついた人がいたこと自体が奇跡。
味の素晴らしさも相まって、感動的でもある。
12日深夜は食感こそよかったものの、うま味自体は少なく、おいしいとは思ったものの、平凡な味だった。
これが翌日、翌々日とうま味が増大する。
食感がなめらかで、それだけでもいいのに、舌に触れた途端に甘味が感じられ、うま味が延々と続く。
ちなみに今回のサザナミダイは非常に上品な白身で、時季のせいかそほど脂がのっていなかった。
身のうま味だけのおいしさなのに、強い衝撃が残る。
最後に残った菊正宗樽酒を用意していたが、無用だった。
サザナミダイの北上は手放しで喜べない
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サザナミダイはフエフキダイ科メイチダイ属(メイチダイの仲間と思えばいい)の魚である。
熱帯域から亜熱帯域に棲息していて、古くは沖縄県だけで見られた。鹿児島県島嶼部でもそんなに多くはなかったのではないか?
これが鹿児島県で普通にとれるようになり、四国太平洋側、紀伊半島でもみられるようになった。
そして青森県下北半島で成魚(体長45cm・2.47kg)が揚がった。
フエフキダイ科では2020年くらいにメイチダイが急騰して大スターとなる。
それまで関東の水産のプロはだれもメイチダイを知らなかった。
同じメイチダイ属で、今のところ知る人ぞ知るサザナミダイが大スターになる番かも知れない。
さて、下北半島の水温は「海ナビ@あおもりホーム 青森県海況気象情報総合提供システム」を見ると、ここ数年、海水温が平年よりも突出して高いのがわかる。
本来熱帯にいるサザナミダイが本州最北でとれたのは、その高水温のためだろう。
サザナミダイは本州ではありきたりの魚になるのかも知れない。
市場関係者は新しい超高級魚の登場に歓喜するだろう。
それが将来への不安材料とも知らずに。
田母神真広さん(郡山水産/福島県郡山市)、及び下北の方達に感謝します。

