202309/11掲載

やはりハーモニカはうまし!

巨大な魚からとれるけど、意外に小さい


ハーモニカとは、もちろん、小学校で習うハーモニカ♪ではなく、魚の部位のことである。ボクはこの「ハーモニカ」が大好きだ。
簡単に言うとカジキ類の背鰭下の部分のことだが、カジキ類は釣り上げると背鰭と嘴を切り落としてしまうようである。この背鰭下の鰭筋、条が癒合して厚みが出た部分を切り取る、その切り取ったものをハーモニカという。
さて、カジキ類といっても比較的手に入れやすいのはメカジキである。メカジキ以外のハーモニカは、よほどカジキ屋(東京都豊洲市場などの)と仲良くならないと手に入るとは思えない。
さて、気仙沼市にすむマコさんは宮城県気仙沼市、『海の市』で魚屋を経営している。昨年から今年にかけて宮城県にはなんどか訪れているが、『海の市』にあるマコさんの店、『魚介類 濱喜』に寄らないわけにはいかない。
『魚介類 濱喜』は、『海の市』という観施設光の中の店だが、観施設光にありがちな魚屋ではなく、いたって普通の気軽に立ち寄れる店だし、品揃えをみても気仙沼という地にこだわりが感じられ、しかも細かく見ていくと発見がやたらに多い。
先日、この店にある冷凍庫の中で発見したのが、メカジキのハーモニカである。全長4mにもなる魚なので、鰭下の部分も大きいだろうと思ったら大間違い。その巨大さの割りにメカジキの背鰭は小さいのだ。当然、鰭筋もそんなに大きくはない。今どきの言葉ではあるが希少部位そのものなのである。

もっとも一般的な食べ方は塩焼きだと思う


いつも魚市場で競り落としたものとか、採取したものを『魚介類 濱喜』で送ってもらっている。今回、「ハーモニカは買いますからね」と言って帰宅したら結局頂いてしまったようだ。実に申しわけなし。
ただハーモニカが冷凍庫にあると、市場に魚がなくても、我が家にはこんなにうまいものがあると思えるだけでなんだか心強い。
9月になっても魚の少ない状態が続いている。比較的早くハーモニカの登場とあいなる。まずは室温で解凍する。半分にしてペーパータオルにくるんでにじみ出した水分をとる。
半分は定番中の定番、塩焼きにする。これがいちばん定番的な食べ方であるのは、焼くと骨に付着した筋肉が盛り上がり、独特の食感が楽しめる。しかも予想外に脂がたっぷりひそんでいる。

今季初鍋はメカジキのハーモニカの魚すき


半分はやっと夜中の気温が27度まで下がったので初鍋、「魚すき」にする。
塩焼きはともかく、「魚すき」用には条ごとに分けて、根元の骨を断ちきる。
長さも食べよい大きさに切り、湯通しして冷水に落として粗熱をとる。
これを割り下(酒・醤油・みりん・砂糖・水を合わせて一煮立ちしたもの)で大量の玉ねぎと煮ながら食べる。
これが以後春まで続く鍋の季節の始まりである。
玉ねぎと一緒に比較的しっかり煮ては食らう。
久しぶりに食べる鍋で意外に自分自身の体が冷えていることがわかる。
弾力のある筋肉にはうま味があり、この調味料と一緒になった味わいは極上である。
脇役のはずの玉ねぎもうまい。
合わせたのは宮城県栗原市の「綿屋」だが、宮城県ってうまいなー、と独りごちる。
『魚介類 濱喜』 FB
https://www.facebook.com/hamakikesennuma/?locale=ja_JP
海の市
https://www.uminoichi.com/shopping/

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メカジキ英名/Swordfish, Broadbill swordfish海水魚。表層〜中層遊泳性。北海道〜九州南岸の日本海・東シナ海・太平洋、希に瀬戸内海、琉球列島、東シナ海。済州島、台湾・・・・
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