202308/05掲載
青柳も、名残のをつけるべき、か
青柳こそ江戸前の味だけど、今や江戸前はなし
バカガイの雌雄子持ち
八王子綜合卸売協同組合、マル幸に青柳(バカガイの剥き身のことでプラスティックのトレイに乗せられている)があった。見た目からして北海道産とみたが、はっきりしない。矢鱈にバカが好きなおバカなボクは、人様が買っているのを見るとつられる質なので、素直に手を出す。
ときは7月も末のことで当然、生殖巣は膨らんでいる。雄雌混じりを選んで買うが、味的には雌雄に変わりはないと思っている。
これが生粋の貝食いである(千葉県)船橋や木更津っこなら違いがわかるのかも知れぬが、こちらは撮影のための雌雄混ざりである。
身(足)の方は少し痩せ気味である。この生殖巣の膨らみ具合から考えるとそろそろ産地は禁漁にすべきだろう。
青柳のうまさは香りが来て、味が来て
青柳の刺身
剥き身の匂いをかいだだけで、唾液がわいてくるけれど、舌状の足はだらりとして情けない。
足からヒモと貝柱、水管、外套膜などを切り放す。
ヒモと貝柱、水管は皮膜や汚れを薄い塩水で洗い流し、水分をよくきる。
足は開いて内臓をこそげ取る。
塩水を煮立てて、コップ一杯の水で水温を若干下げた中で、開いた足をゆらゆらさせて氷水に落として水分をよくきる。
器にヒモと貝柱、足を盛り込み、最近やけに垢抜けた千葉県酒々井の甲子正宗をグラス1ぱいだけ用意する。
そろそろ名残だな、とは思ったものの、青柳の香りが実にゆかしい。
口に放り込む手前の段階からして心とろかされるようである。
舌にのせてすぐに甘味と、嚙んで染み出してくる渋味とが合体すると貝のうまさが数倍に膨らむ。
合いの手に食べる水管やヒモの食感もうるわしいのだ
勝手な思い込みに過ぎぬと思うが、夏バテに効いている気がする。
冷やした酒を飲み飲み、バカにうまいとはこのことだと思うのである。