アラスカメヌケの刺身
知らず知らず食べている普通の魚
最近、初歩的な魚を知らないくせに魚のマイスターとか達人ぶる人間が多くて困る。水産物は平凡を知り尽くして初めて口をきけ、といいたい今日この頃である。本種などその基本中の基本。水産の基礎としてもっとも最初に学ぶべき魚である。漬け魚など加工品として一般的。加工品の材料の魚に注目するのも魚の達人になるには重要である。
赤い魚で、おいしいし、見た目にもきれいな魚だが、今、日本海の喉黒を知っていて、本種を知らないなんて不思議な人間が多すぎる。ちなみにマスコミは永遠に魚に関しては幼稚なものしかとりあげない。なぜなら掘り下げても視聴率が上がらないためだ。最近マスコミ程度の魚通が多くて困る。
2月も終わろうとしている日、八王子総合卸売センター、『福泉』にえりも産(北海道えりも町)「赤魚」がきていた。久しぶりの鮮魚だ。
ちなみに流通上で本種は圧倒的に「赤魚」である。本種をアカウオにしたいと考えていた魚類学者もいたくらい、一般的に「赤魚」だった魚が本種なのである。ちなみに古い魚類検索にアカウ(漢字はこれも赤魚)とあるのはアコウダイのこと。その辺からアカウオを却下して和名をひねり出した可能性が高い。
冷凍してもきれいだった刺身
旬がわかりにくいのが難点だが脂ののった個体は矢鱈にうまい。問題は国内ではあまり量が取れないので、旬がわかりにくいことだろう。安定的に手に入れにくい魚であるが、2月最後の日の個体は非常に脂がのっていた。水洗いして三枚に下ろした時点で包丁は脂でべたつくほどだ。やはり本種の旬は冬から春なのかも知れない。
残念なのは野締めであるためか鮮度的にイマイチだったことだ。鮮度が落ちるとアニサキスの恐れが高くなると思ったので丸一日冷凍にして刺身にした。
自然解凍すると、脂があるので冷凍での劣化は少なく、見た目にもきれいであった。