202507/21掲載

お茶人間なので、ボクの碁石茶めも

とても碁石には見えないのに、なぜか碁石茶


ボクの故郷、徳島県美馬郡貞光町(現つるぎ町)は県内、吉野川真ん中あたりで、都会に出るというと徳島市だった。
香川県に出ることはほとんどなく、意外に遠い場所だった気がする。
「香川」というと記憶が曖昧だけど丸亀(?)であって、家族がウチワを仕入れに行くとき何度かついて行った。

ウチワの注文をして、名を入れる、とかいろんなことをやっている間、まだ子供のボクは、瓦煎餅とかまんじゅうでお茶を飲むのが楽しみだった。
ウチワ屋のお茶は苦いけど軽くて口の中がすっきりした。
これが、碁石茶だった気がする。
碁石茶は高知県大豊町などで作っている国内では珍しい発酵茶で、高知県ではなく香川県海辺や離島で飲まれていた。

海水浴で何度か行った、香川県海岸寺の海の家で飲んでいたお茶も同じ味だった気がする。
ちなみに父は職人だったので、他にも何軒か回った。
そのときのお茶は我が家と同じ緑茶で、ボクにはジュースが出た。
ジュースとお茶をかわりばんこに飲むの見た、得意先のオバサンに笑われたりした。

曖昧模糊で、はっきりしないけど、「めも」なのでお許しを。
塩飽諸島など離島、漁師さんが飲むものという話があるが、このような家内工業の場や海の家などでも飲んでいたのだと思う。

ちなみに碁石茶らしきものを意識したのは、サンテレビ(?)の伊丹十三の番組でだと記憶する。
四国の山間部を歩くという番組だった。
新聞のテレビ欄まで見て、合わせて帰宅していたくらい面白い番組だった。
もしも録画が残っているなら、もう一度見てみたい。

今、買い求めることができる碁石茶は苦味少なく軽い味


民俗学を独学で始めて、この民俗学的にも重要な碁石茶(番茶)を探して、丸亀、海岸寺あたりを帰省のとき途中下車して歩いたことがある。
見つけたのは高松市内の大きな商店街のお茶屋である。
高松市内のお茶屋では、めったに仕入れないもので、高松市内では飲む人がいないという話だった。
教わった通りにちょうどいいサイズの薬缶まで買って煎じるように淹れたら、ウチワ屋で飲んだお茶と同じ味だった。

教わった淹れ方は薬缶の沸いた湯に1、2個入れて煮出す、だ。
ものすごく簡単で日常的なやり方である。

ここ10年くらいは都内にある高知県のアンテナショップで買っている。
やけに凝った作りの袋入りで、ものすごく高い。
しかも味が軽くなり、飲みやすくなっている気がする。
発酵茶というと故郷で小中高と学校で飲んでいたのが、晩茶である。
今、「阿波晩茶」という名前だけど、小学校か中学校のコヅカイサンに「おばん茶(徳島県ではいろんなものに「お」をつける)もって行きないよ」とお残り(学校で九九が言えるまで残されるとか、宿題をして行かなかったときの居残り)のとき言われたのを記憶している。
「阿波晩茶」という言葉が日常的に使わないのと同じように、「碁石茶」も飲んでいる地域では使わない言葉だと思うな。



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