男鹿のワカメと千葉のカイワリと、のらぼうと
見た目的にも春の野のようにしたかった

千葉県鴨川産のカイワリは1尾焼き、1尾天ぷらにし、2尾刺身にした。
そして最後の2尾はなんにしようかな? と思っていたときに、秋田県男鹿市船川の漁師、近藤亮さんからワカメが届いた。
ワカメを見たら頭に「料理の絵」が浮かんできた。
ありがとうございますとしか言いようがない。
ワカメでもいろいろ作るつもりだけど、まずは炊き合わせに使う。
カイワリのおいしさを吸収してもらうのである。
煮つけるとカイワリから「おいしい」が出る。
ワカメを食べると、ワカメの「おいしい」よりも、カイワリの「おいしい」が感じられたりする。
ほんの数分、一緒にたいただけでワカメからも「おいしい」が出るが、カイワリはガンコで意固地である。
カイワリはどこまでもカイワリの味だけで、煮汁をからめるとやっとワカメのうまさがからまる。
スーパースターなので仕方がないやも知れない。
カイワリ、ワカメは炊き合わせても、合わさらない部分があるから「炊き合わせ」という料理なのである。
融合しないことで料理の存在感が一回り大きくなる。
それじゃー、私は、と、のらぼうの蕾が言いそうである。
このほどよい苦味と甘味、植物持つ清涼感で、意外に存在感が強い。
こう言った存在をたき合わせの「合いの手」、という。
不思議なもので、魚介類の炊き合わせは、一般家庭では、どちらかというと春のものである。
蛇足だけど、ブリ大根やスルメイカと里芋のように、煮込んで融合しているものを炊き合わせとは言わない。独立性が希薄だからだ。
男鹿のワカメがグッドタイミングで届く

八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産に鴨川産のカイワリが来ていた。これを5,6尾買ってくる。体長17,18cmで手頃な大きさである。
カイワリは水洗いして頭部と尾を切り飛ばす。
ここまでやり終えておき、いろいろ作った。
たまたま我が家にのらぼうがあり、男鹿から今年最後ののワカメが届いたので、自然と炊き合わせることになる。