202503/24掲載

魚の煮つけは勝手にしやがれ、でマアジ

3月、相模湾のマアジは脂はないけどうま味はある


今回も神奈川県小田原魚市場、二宮定置のみなさんに体長21cm〜22cmのマアジをいただいてきた。
まことに感謝感激、とてもありがとう。
まだ脂の乗りはイマイチだけど、うま味は豊かである。
帰宅後に昼ご飯のおかず、煮つけを作った。
たまり醤油・濃口醤油と砂糖・酒のこってこってのご飯用煮つけだ。

見た目が非常に濃いが食べたらあっさりなのだ


作り方は簡単。
水洗いして(今回は忙しいので頭・尾を落とした)、一度湯通しし、氷水に落としてぬめり・残った鱗を流して水分をきる。
【煮汁が濁ってもいいならこの行程は不要。】
ボクの場合、酒と砂糖、水を合わせて煮立てた中に魚を入れて煮る。
ただし、この方法はおすすめできない。
おすすめは、【その素材に合った鍋を選んで煮つける魚を入れる。
水・酒・砂糖(調味料は控えめ)を魚の高さよりも少し多めか、1.5倍くらいの量、鍋に入れて、火をつける。
煮汁は多い方が失敗しない。
煮立ってきたらアクをすくい、味見をして、ここで醤油(たまり醤油・濃口醤油半々)を加える。
少し煮えてきたらふたたび味見して、調味料で加減する。
ここで最後にみりんを加えると見た目がきれいだ。
重要ポイント/ちなみに煮つけのコツは作り方ではなく、3種類くらいの、底の広さの鍋を持っておき、素材の大きさに合わせて使い分けることだ。】
煮えてきたら仕上げにみりんを足して少し煮てそのまま鍋止めする。
煮汁が真っ黒で味が濃そうに見えるものの、魚の中は煮染まっていなくて箸でつまみとると内側が白い。
身をほぐして煮汁に絡めながら食べる。

蛇足だけど、ボクの得意技はなんだろう?
たぶん人に食べ物を、よく分けてもらうことだと思う?
魚の煮つけも、いろんなところ、例えば、普通の家庭でも食べさせたもらっているし、知らないオバアチャンの弁当のお菜を味見させてもらったこともある。沖縄、農連市場のオバアには、弁当の魚の煮つけにご飯半分を頂いたことがある。
その、全国各地で勝手に食べまくって思ったことは、もちろんスーパーや直売所などのものも含めてだがが、魚の煮つけの味は全部違っていてバラバラだということと、バラバラがいいということ。

だいたい醤油からして違っている。
いちばん味が軽く甘くないのはやはり千葉県の醤油だし、いちばん重くて甘い醤油は中国地方や九州のもの。ものすごく甘いのは兵庫県姫路市坊勢島をはじめ家島群島の富士大醤油である。
有名な食通のテレビタレントが坊勢で富士大醤油の煮つけを食べて、「坊勢の魚は醤油だけで煮つけても甘くてうまい」、といったとかの曰く付きの醤油である。
ちなみに地域によっては同じ銘柄で甘口(甘い)と濃口(甘くない)2種類の醤油が選べる地域があるが、新潟県のとあるスーパーできくと甘い方が売れるという。

ご飯のための煮つけなので、乗せて追い煮汁をして食べる


さて、このたまり醤油を使った、こってり甘辛い煮つけをほぐしては、ご飯に乗せて、場合によっては煮汁を追いがけした食べる。
今回のマアジは脂の乗りはイマイチであったが、うま味は豊かであった。
一気食いするとよけいデブになるので、一ため息をついて、またほぐして、またまたご飯に乗せて、かき込む。
ボクが作る煮つけはスチュエーションに合わせて、毎度違えている。
これがボクのやり方である。
煮つけは勝手に好きなように煮つけるべし。

このコラムに関係する種

マアジのサムネイル写真
マアジJapanese horse-mackerel, Japanese jack mackerel海水魚。大陸棚を含む沖合〜沿岸の中・下層。北海道全沿岸〜九州南岸の日本海・東シナ海・太平洋沿岸、瀬戸内海、屋久島、種子・・・・
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